その27 ページ27
「組織を抜けた?『シークレット』のことか?」
「そう!」
「お前の組織はそんな簡単に出たり入ったりできるものなのか」
「そんなわけないでしょ!殺されるから必死で逃げたの!!」
そこはそんな重要なとこじゃないのに!!
それでも彼は納得いかないといった様子で不思議そうにしているのでなんだかイライラしてきた。
「ならどうして組織を...」
「零のこと!好きになっちゃったからだよ!!!」
私の目から涙が溢れると同時に、零が一瞬、呼吸を止めた。
泣いちゃいけない、私に泣く資格なんかない、わかっているけどどうしても止められず、私はみっともなくぼろぼろと涙をこぼしながら訴えた。
「1週間!あの日...ここを出たその足でAたちのたまり場にいった、零がノックだと報告するために!なのに...私の口は、バーボンはシロだって言い張るの!私の考えてることと違って...その時にやっと気付けた、零のこと、ほんとに好きになってた...!」
「なにを...」
「信じて欲しいなんて口が裂けても言えない!!でも、話を聞いてほしい...!」
それから私は必死に、伝え漏らしのないように、ただただ心をぶつけた。
ポアロで会う透が日に日に疲れを増していくから心配だったこと。
ストーカーから助けてくれて嬉しかったこと。
2人で話すと楽しかったこと。
あなたが私に秘密にしていることがあって、寂しいと思ったこと。
...たくさん愛してくれて、幸せだったこと。
話し終わる頃には涙もとまるかと思っていたけど、逆に今までのことを思い出してさらにあふれた。
零は私の涙を拭うことも、頭を撫でることも、抱きしめることもしない。けれど、それが当たり前だった。
全て話して、沈黙が部屋を支配する。
私は乱暴に涙をふいて、もう一度零を真っ直ぐ見据えた。
「私の気持ちは全部話せた...」
「...A、」
「でも私の気持ちなんて今はどうだっていい!もっと話さなきゃいけないことがあるの!」
「...え、」
「3日後!!私が逃げ出したことで、シークレットが幹部会を行うと、私の部下から連絡があった!」
時間や場所の書かれたそのメールを、携帯ごと彼に押し付ける。
零は反射的に押し付けられたそれを受け取り、中身を確認すると、おもむろにソファーへ放り投げてあった背広を羽織って、キリッとした、私の好きな目で言った。
「...仕事に行く。お前は安全なところに身を隠しておけ。」
ああ、私の声が、まだ届いたのだ、と。
私はもう一度涙をこぼした。
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れい(プロフ) - 復元してくださりありがとうございます!! 此れからの更新も待ってますね (2019年2月23日 21時) (レス) id: 541088bf06 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - れいさん» お早いコメントありがとうございます!!なんとかかんとか復元ができましたのでまた続編のほうで続きを書きます…!ありがとうございます(;ω;) (2019年2月23日 17時) (レス) id: 865c783a94 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - キャバ嬢 書きましょう!! (2019年2月23日 17時) (レス) id: 541088bf06 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 陽香さん» ひええありがとうございます…!もっと更新できるように頑張ります!! (2019年2月20日 22時) (レス) id: 865c783a94 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - ののいろ系女子さん» 最近降谷さんが出てきてませんがそろそろ出てきますので…!よろしくお願いします! (2019年2月20日 22時) (レス) id: 865c783a94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エリス | 作成日時:2018年6月8日 9時