379) 最後に (You side) ページ29
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A「温かくて美味しいです！」
ジニョク「そう？良かった。」
ジニョクさんがいれてくれたコーヒーには、お砂糖とミルクが沢山入っていた。
ジニョク「でも、甘過ぎるだろ？実は苦いコーヒーは苦手なんだ。恥ずかしいから会社で飲む時は、デスクに隠してある砂糖とミルクをたっぷり入れて飲む (笑)」
A「そうなんですね！でも恥ずかしい事なんて無いですよ。私の彼も見た目によらず甘党で。コーヒーもお砂糖とミルクたっぷりです。」
ジニョク「彼は本当にAさんに心許してるんだね。僕は最後まで誰にも言えなかった。」
A「最後まで？」
ジニョク「あーいや。この歳まで心許せる恋人も出来なかったってこと。たいした意味は無いよ。」
ジニョクさんは大したこと無さげに笑っていたけれど、この言葉が妙に引っ掛かった。
ジニョク「さて。ちょっと手直しするかな。Aさんはゆっくり飲んでいて。」
そう言って立ち上がると、コーヒーを絵筆に持ち変えてキャンバスに向かう。
絵に向かっている時のジニョクさんの横顔は本当に綺麗。本人は自覚は無いだろうけど少し口角が上がっていて。
本当に嬉しそうに楽しそうに絵筆を動かしている。
ジニョクさんを見ていると、自分もまた描けるような気がして…
持ってきたバッグの中から、小さなスケッチブックと使い古した鉛筆を取り出した。
それからどのくらい時間が経ったのか。
ジニョク「出来た…」
声がするまで、一心不乱にジニョクさんの横顔を描き続けた。
ジニョク「Aさん？」
A「あ、すいません。勝手にジニョクさんを描いてしまいました…」
ジニョク「見せて」
A「いや、下手くそで恥ずかしいです…」
下手くそだけど、ジニョクさんの人柄を上手く表現できたと思ってる。
ジニョク「僕、こんな顔をして絵を描いているんだね。」
A「はい。楽しそうに嬉しそうにずっと微笑みながら描いていましたよ。ついつい私も描きたくなってしまって…勝手にごめんなさい。」
ジニョク「かまわないよ。Aさんのリハビリのモデルになれるなんて光栄だよ。もう大丈夫。きっと何でも描けるようになる。気負わずに描く事を純粋に楽しんでみて。僕もそうしてる。」
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作者名：mari
| 作成日時：2020年3月8日 14時
