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353)婚約解消 (YN side) ページ3

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会社の駐車場には置きっぱなしの兄貴の車。




その横のスペースに車を停めると、助手席に投げていたスマホを手に取る。




何度も入っていた着信は、母からのものだった。




ユノ「…もしもし?母さん?」





母「ユンホ!!ジニョクを知らない?連絡が取れないの!」




ユノ「…母さん、落ち着いて。」




母「あの子ったら、スヨンさんとの婚約を解消するって!スヨンさんのお父様に電話をしたらしくて!私には何がなんだか!お父様も怒ってるわ!」



ユノ「…」





母「婚約式の準備も進めていたのよ!それなのに突然そんな!ソヨンさんのご両親になんて説明したらいいのか…」




ユノ「…ソヨンはなんて?」





母「ジニョクの言うとおりにするって言ってるらしいけど、そんなの…」





ユノ「母さん。結婚は本人たちの問題です。本人たちときちんと話をするまでは、婚約式も進めるべきではないのでは?」




母「何を言ってるの?ついこの間まで二人とも嬉しそうだったのに。どうして急にそんな。ユンホさん、あなた何か知ってるの!?」




ユノ「何も知りません。とにかく兄さんと連絡が取れたら知らせますから。それまではおかしな事はしないでください。」




母「…わかったわ。とにかくジニョクを探してちょうだい。」







兄貴が言っていたのは本当だった。


ーーー婚約解消





ふたりの間に何があったのか知りたくもないけれど、それだけの理由で兄貴が失踪まがいのことまでするとは思えなくて。




車を降りると、役員専用のエレベーターまで急いだ。


















最上階にある社長室の並びにある専務室をノックした。




少し間をおいて扉が開くと、専務付きのキム秘書が悲壮な顔をして俺を見る。




キム秘書「チョン部長…お休みでは…」




ユノ「気になって来てみました。あれから連絡は?」




キム「ありません…電源も落とされているようで、留守電も入らない状態で…」




案内された兄貴の部屋の机の上には何も置かれていない。





普段から綺麗好きで整理されているけれど、まるで長い旅にでも出るような決意の後にも見えた。




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作者名:mari | 作成日時:2020年3月8日 14時

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