374) 見た顔2 (You side) ページ24
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A「ジニョク…さん?」
そこにはつい先日あの丘で会ったばかりの、キレイな油絵を描く彼に似た男性が写っていた。
【 チョン・ジニョク】
名前も合っている。
似ている。けれど。
スーツを着て髪もセットして無表情でいるこの写真は、あの丘で微笑みながら絵を書いていたジニョクさんとは別人のようだった。
A「別人…かな?でも名前も同じだし…」
韓国には同性同名の人は沢山いる。確かに似ているけれど、雰囲気が全然違う。
あの丘で会ったジニョクさんは、思わず引き込まれそうになる程、笑顔の素敵な人だった。
あの丘で彼に会ったことはユノにも話していないから、聞くわけにもいかないし。
万が一の可能性で、必死に探している人達を混乱させるわけにもいかない。
明日、あの丘に行ってみよう。絵が完成していなければ、あの丘にまだ通ってるかもしれない。
そう決めてパソコンの電源を落とした時に、カバンの中のスマホが鳴った。
A「榊さんだ(笑)」
榊さん専用の着信音は寅さんのテーマ曲だから直ぐわかる。ちなみにこれは本人の要望でそうしている。
A【もしもし?Aです。榊さん、お疲れ様です。】
榊【おお。デート中じゃなかったか?】
A【さっきまでチョンさんと食事してましたけど、大丈夫です。】
榊【そうか。たまの休みを満喫してるところすまないが、明日の夜にジェジュンさんの写真集の校正があがって来る。シウォンさんのところに持っていくけど、お前はどうする?チャンミンは来るって言ってたけど。】
A【行くに決まってるじゃないですか!何時ですか?直接行っても…】
榊【まあ、落ち着けよ。明日19時にチャンミンとシウォンさんのお宅に来い。俺は先に行ってるから。楽しみだな。いよいよお前達の努力の結晶が形になる。】
A【はい!あの…ジェジュンは…?】
榊【ジェジュンさんもチェックしたいと言ってたんだがどうしても外せない仕事があって合流出来ない。事務所チェックでいいそうだ。】
A【わかりました。では明日、宜しくお願いします。】
ジェジュン、まだ日本にいるんだな。あれから電話もメールも無い。
急に進みだした写真集の事も気になるけれど、この時はジニョクさんの事で頭が一杯だった。
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作者名:mari | 作成日時:2020年3月8日 14時