314) それぞれの想い2（YN side) ページ14
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固い扉を一度開けてしまうと、次から次に弱い自分が飛び出してくる。
ユノ「Aを信じていると言いながら…流されてしまうんじゃないかって…どこかで疑っていたのかもしれない。」
酷いことを言っているのだとわかっていたけど…
でも言わずにはいられなかった。
これが本当の俺。
伏し目がちに一点を見つめていたAが、ふっと顔をあげてつぶやいた。
A「私も…私だって… ソヨンさんの事…」
ユノ「A？」
A「ユノがソヨンさんと一緒にいるのを見て…ユノがソヨンさんを守るように抱き抱えていたのを見て…私には割って入れない絆を感じたの。」
ユノ「A？何を言って…」
A「こどもの頃から20年以上も想い続けてきた女性だもの…そんなに簡単には…」
ユノ「ちょっと待って！一体何を言ってるの？」
守るように抱き抱えて？
Aが何の事を言っているのかわからなかった。
A「日本から戻った日…空港からの帰り道、偶然榊さんの車でユノの会社の前を通ったの。」
ユノ「あの日は…」
A「リコールが問題になった日。会社の前に報道の車がいっぱい停まっていて…」
ユノ「…」
A「ユノがソヨンさんを守るように抱いて、会社から出てきたところを見かけたの。」
ユノ「え？」
あの日は確か…ソヨンが俺の部屋で体調が悪くなって…
家まで送ろうと外に出たら、報道のカメラを一斉に向けられた。
慌ててソヨンが映らないようにコートで抱き抱えたんだ。
まさかあの時の事がAに見られていたなんて。
ユノ「違うんだ。あれは具合いが悪くなったソヨンを送っていこうとして、急にカメラを向けられたから咄嗟に…」
A「…」
ユノ「ソヨンは財閥3世なんだ。良くも悪くも有名人で。顔が知られているから咄嗟に隠そうと…」
A「わかってる…何か理由があったんだってことは。私が勝手にやきもち妬いただけ。」
ユノ「…はぁ… なんか安心した。」
A「？」
ユノ「俺ばっかりがAを好きで。俺ばっかりが妬いてるのかと思ってた。」
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作者名：mari
| 作成日時：2019年5月16日 0時
