235)昔の夢< You side> ページ35
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《これ、Aが書いたの？めっちゃくちゃ上手いじゃん！》
《昔ね。水彩画の画家になりたかったの。でも諦めちゃった。》
《なーんでっ？！こんなに上手いのに！》
ジェジュンと知り合ったばかりの頃。まだ友達だったジェジュンに学生時代に書いた絵を見せた事がある。
あの時の絵も、もう捨ててしまった。
《なんでっ！諦めるなんて勿体ない！》
《もういいの。画家になるなんて夢物語だったんだよ。》
目指していた美大を、経済的な都合で諦めなければいけなくなった時、描くことをやめた。
進学を諦めて一旦就職して、家業の工場経営が持ち直した時にまた短大に入り直したけれど
目標を無くした私はずっと無気力のまま。
卒業間近になってもやりたいことも無くて、たまたま受かった今の会社に入っただけ。
暫くして榊さんと一緒に韓国支社赴任が決まった時に、それまで描き留めた絵は捨てた。
一枚だけを残して。
A「…ジェジュン…覚えてたんだな。私が絵を描いていたこと。」
いきなり泣いたりして、きっとビックリしたに違いない。
カン「お前！Aさんに何したんだ！」
勘違いしたカンさんにも思いっきり怒られて。
A「違うんです…カンさん。私が勝手に…」
ジェジュン「ごめん…A。変なこと言って悪かったよ。」
カンさんの運転する車の中、ジェジュンも私も話さなかった。
ジェジュンは何も悪くない。
いつまでも過去を引きずってウジウジしているのは私だ。
明日、ちゃんと謝ろう。
いきなり泣いてごめんって。
ビックリさせてごめんって。
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236)退院< YN side>→←234)引き抜きの話< You side>
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作者名：mari
| 作成日時：2018年7月7日 0時
