234)引き抜きの話< You side> ページ34
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A「あの…ジェジュン…私ね…」
ジェジュン「なーんてね！今は友達として心配してるだけ！」
その先は言わせて貰えなかった。
《好きな人がいるの》
その言葉はまた飲み込んだ。
ジェジュン「…明日の撮影が終わったら、すぐ韓国に帰るの？」
A「まだ決めてない。撮りためた写真で直ぐに構成を考えなきゃ。シウォンさんはすぐ韓国に帰らなきゃいけないから。勿論、ジェジュンの意見も聞きたいんだけど。」
ジェジュン「俺は今度の新曲のプロモーションで暫くは日本にいる。詳しいスケジュールはカンさんに聞いて？」
A「うん。わかった。」
「…」
「…」
沈黙が痛い。
ジェジュン「…A。前に話したこと…真剣に考えて。」
心臓がドクンと跳ねる。
ジェジュンの目が真っ直ぐに私を見据えていた。
A「…ジェジュンの事務所にって話？」
ジェジュン「そう。もちろん今よりいい待遇も保証する。休みだって今よりきちんと取れるし。だからさ…」
A「ごめん…ジェジュン。私、この仕事好きなんだ。正直体はきついし、辛いことも沢山あるけど、でも…」
ジェジュン「事務所に入ってもプロモーションの仕事は出来るだろ？今みたいにクライアントにこきつかわれなくてもいい。それに…」
A「…」
ジェジュン「もう一度、絵を描くことだって…」
※
※
※
それから…どうしたんだっけな。
ハラハラ泣き出した私をオロオロとしながら慰めてくれて
慌ててカンさんを呼んで、泣いてる私に驚いたカンさんにジェジュンは思いっきり怒られて。
気か付いたら自分の部屋にいた。
真夜中にひとりベッドに座ってぼうっと天井を見る。
ふと見ると、学生時代からずっと使っていた勉強机の引き出しが少しだけ空いてる事に気がついて
引き込まれるように近くに行って引き出しを開けると、懐かしい鉛筆と絵の具の香りがした。
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作者名：mari
| 作成日時：2018年7月7日 0時
