170)再会1<You side> ページ20
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《A…》
もう、空耳が聞こえるくらいになってしまったのかと
声が聞こえた気がした方をゆっくりゆっくりと振り返ったら
会いたくて会いたくて仕方がなかった人がそこにいた。
ユノ「A…」
A「…っ」
人間って驚き過ぎると声も出ないらしい。
ニッコリと笑ってこちらの歩いてくるユノがだんだんぼやけて見える。
ユノ「お疲れさま。」
ポンポンと頭を撫でてくれるその手も紛れもなくユノだった。
A「ほん…ものだ…」
やっと出た言葉がとんちんかんで。
ユノ「ふふ…確かめる？(笑)」
私の涙を長い指で拭い、大きな胸の中に抱きしめられる。
いつものように、すぅーっと息を吸った。
大好きなユノの匂い。私の居場所はここだと。
心から安心できるユノの匂い。
ユノ「どう？本物だった？」
A「うん。間違いなくユノだった…」
ゆっくりとユノの腕から解放される。
なんで？どうしてここに？
聞きたい事は沢山あったけれど、とにかく今は胸がいっぱいで。
きっとユノも同じ気持ちだったんだと思う。
ユノ「行こう。」
私の手を引いて、ずんずんと歩いていく。
足の長さが違うんだから、当然私は小走りになるんだけど。
そんな事でも嬉しくて。
エレベーターに乗り込むと閉ボタンを連打して
閉まった途端、ぐいっと手を引かれてキスをする。
私の両頬に手を置いて何度も何度も。
エレベーターは高層階を目指しているのかなかなか止まらなくて
だんだんと呼吸も苦しくなってきて、ユノの背中に回した手にも力が入る。
チーン♪
エレベーターが停まるとそっと私から離れたユノは
ユノ「…ごめん。我慢出来ない。」
そう言って私の手を引いたままエレベーターから降りた。
見たことがある廊下。
ああ、以前泊まった階の。
ポケットからカードキーを取り出して解錠したのは、あの夜景が綺麗な部屋だった。
中に入って扉が閉まるなり、壁に押し付けられてまたキスが始まった。
いくらキスしても足りないというように。
カバンが落ちて、靴も脱げてしまって、そのまま抱き上げられると、ベッドにおろされた。
お互い何も言わない。言葉は必要無い。
ユノの目はただ真っ直ぐに私を見ていた。
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作者名：mari
| 作成日時：2018年4月19日 23時
