062）今更<YN side> ページ12
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「ごゆっくり。」
親同士で話が盛りあがる中、早々に食事を終えた俺は2階の自室に戻った。
出ていく前と何も変わらないこの部屋。
兄貴の予備の俺がここに居ないことすら、全く気にしてないだろう。
埃っぽいカバーをめくりあげて、ベッドに寝転がった。
天井を見上げると、ソヨンを思いながら眠れない日を過ごした昔を思い出す。
《彼に…会いました。でも冷静に話せなくて…》
あれから
Aさんは彼とちゃんと別れる事が出来たんだろうか？
手の傷も気になる。
暴力を振るわれているんじゃないかとか、酷いこと言われてるんじゃないかとか。
気になって仕方がないけど、なかなか電話することが出来なくて。
コンコン…
ノックする音が聞こえて扉の方に目を向けると
「…ユノ？入ってもいい？」
か細いソヨンの声が聞こえた。
ベットから起き上がってドアを開けると、そこには俯き加減のソヨンが立っていて
ソヨン「ユノ…話があるの…」
小さな声でそう言った。
ユノ「何の話？この間の事ならもう…」
ソヨン「それだけじゃないの。」
遮られるようにして言葉を返された。
ソヨン「中に入れてくれないの？」
ユノ「俺たちはもう無邪気な子供じゃないんだぞ？親達だって兄貴だっているのに…」
ソヨン「…ジニョクオッパは何とも思わないわ。私が何をしていたって…」
ユノ「…」
そう言ってより下を向いてしまう。
ユノ「…入れよ。」
ソヨンの様子がおかしいのも気になって、部屋の中に入れた。
変な誤解を招かないようにソヨンを椅子に座らせて俺は立ったまま。
ユノ「話って？」
ソヨン「…」
ユノ「話があったから来たんだろ？」
苛立ちを隠せずに冷たく言い放ってしまう。
ソヨン「ジニョクオッパは…私を愛してない。」
ユノ「…」
何を言ってるんだ？
ソヨン「欲しいのは私の家との繋がりだけなの。私の事なんて愛していない。私が何をしても怒らないし、興味も無いんだもの。」
ユノ「なんだよそれ。お前たち結婚するんだろ？ソヨンはずっと兄貴が好きで、兄貴もソヨンが…」
言っていて空しくなってきた。二人の間に入れなくてずっと思い悩んできたのに。
今さら何を。
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作者名：mari
| 作成日時：2018年1月31日 23時
