041）緊張<You side> ページ41
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簡単な打ち合わせだけで始まってしまった接待は、実は重要な契約の確認の話だと知って、引き受けてしまった事を心底後悔した。
でも頑張るしか無い。
私を信用してくれたチョンさんのためにも。
お取引先のV.I.Pは日本人男性で、礼儀を重んじるとても気難しい方だと聞かされていたから余計に緊張をした。
時間通りに現れた安藤様は60代半ばには見えない位に若々しい方で、笑顔の素敵な紳士だった。
韓国語で話すチョンさんの話を日本語に訳して話す。
日本語で話す安藤様の話を韓国語に訳して話す。
韓国語と日本語は似た単語も多いけれど、語彙が圧倒的に違うから、相手の感情を言葉に変換して伝えるのは難しい。
韓国に来た頃はそれでコミュニケーションがとれずに悩んだりもしたっけ。
ユノ「Aさん、まだ時間ある？お礼に食事でもどう？」
A「でもチョンさん、お食事してたんじゃ…」
ユノ「はは。緊張してて全然喉を通らなかった。」
ドンヘ「じゃあ俺も！」
ユノ「お前はいいから！会社戻って報告しとけよ！」
ドンヘ「そんな事言うなよー！本契約の前祝いやろうぜ！さ、行こう！Aちゃん！」
二人のやりとりに圧倒されていると、ドンヘさんが私の手を引いて歩き出した。
ユノ「おま…ドンヘ！」
チョンさんが声をあげたのと同時に
A「痛っ！」
右手に鋭い痛みが走る。
ドンヘさんに握られた手の絆創膏が少しだけ滲んでいた。
ドンヘ「わ！怪我してたの？ごめん！」
ユノ「おい！手を離せよドンヘ！」
チョンさんのほうに体ごとグッと引き寄せられる。
A「あ////」
ユノ「Aさん、大丈夫？傷見せて？」
A「だ、大丈夫ですから！本当に小さな傷なんです！」
ユノ「それでも…血が出てる。ドンヘ、後は頼むな。俺、Aさんを病院に連れて行ってくるから。」
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作者名：mari
| 作成日時：2017年12月26日 0時
