017)彼が残したもの<You side> ページ17
.
そっとベッドルームに戻ると、こちら側に背を向けて眠るチョンさんの側に膝まづいた。
A「…」
少しはだけている布団をかけ直して
寝顔も綺麗だななんて思ったりして。
「チョンさん…ありがとう…幸せになってくださいね。」
自分にも聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟く。
そのままゆっくりと立ち上がり、荷物とコートを持って出口へ向かう。
パタン…
音を立てないように静かにドアを閉めた。
そのままフロントに寄り、チョンさんの部屋に7時にコールするようにお願いをして
停まっていたタクシーに乗り込んだ。
数時間前にこのホテルに着いた時は、不安で胸が押し潰されそうだったのに。
チョンさんが居てくれたおかけで温かい気持ちになれた。
思わず顔がほころぶ。
15分もすると見慣れたマンションの前でタクシーは停まり、その頃には空もだいぶ明るくなってきていた。
タクシー代を払って外に出ると、凍えるような寒さ。吐く息も真っ白だった。
A「さぶっ!」
コートの前をしっかりと閉めてエレベーターに駆け込む。
一刻も早く暖かい部屋にたどり着きたくて、足早に部屋に向かうと
自分の部屋のドアノブに何かがかかってるのが遠目で見えた。
恐る恐る近づくと、それは小さな紙袋だった。
A「あ…」
彼が
彼が来たんだ。ここに。
.
018)先に進むためのお守り1<YN side>→←016)ありがとう<You side>
619人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mari | 作成日時:2017年12月26日 0時