ファインダー �� ページ46
関係者入口に着くと、名札の掲示を求められ、あー忘れてた、と思った海咲に、ヴィクトルはくすっと笑いスタッフにまだチケットは残っているかと尋ねる。
まさかリヴィングレジェンドである彼がチケットを購入するとは思わなかったのか、慌てて確認してきますとスタッフの一人を走らせ、ここで待つ様にと言う彼にGrazie tante(どもありがとう)と言うと、いえ・・・と嬉しそうに笑顔を返される。
「ごめんなさい、ヴィー」
「違うよ？」
「え？・・・・・あ、Спасибо ヴィー」
「Хорошо получилось. 」(良く出来ました)
くすくすっと笑うヴィクトルは、またやっちゃった・・・と反省している様子に、日本的言い方だよね、とフォローする。
「え？」
「謝罪の文化があることは知っているけれどね。
日本以外では裁判沙汰なんてしょっちゅうだから言わない方が良いから練習、だよ？」
口元に人差し指を当て、小首を傾げる仕草に海咲は可愛いっと頬を染めて俯く。
「あれ？海咲？？」
何故落ち込むの？と聞けば違うと首を振るが、ヴィクトはんー？と首を捻る。
海咲の耳が赤くなっていくのを見て照れただけか、と気づきふふっと笑うと繋いだ手を僅かに引き寄せ頭にキスを落とす。
「確認取れました、ロシアチームと言う事で関係者の名札を発券と言う事でこれを」
そちらの勝生選手は付き添いですか？と尋ねられそうだと頷けばでは、と名札を渡されるが・・・・・海咲には何も聞かれず、何も渡されず首を傾げる。
「彼女の分は？」
「そちらは？」
部外者ですよね？という目に、妻だ、とお揃いの指輪を見せると驚かれる。
「え？勝生選手と御結婚されたのでは？」
「「は？」」「やっぱり」
驚く二人とは逆に納得した海咲に何故！？と尋ねると、世界中に中継された大会であんな意味深な事をすればみんな勘違いすると肩を竦められる。
「そんな・・・・！
俺は海咲と結婚したのに！！」
インタヴューでも『初恋の女の子』って言ったよ！？と言えば頬を染める海咲を抱き締める。
「勇利はどう見ても男じゃないか！」
「男の娘って言葉があるの、知ってる？」
「・・・・・日本語ムズカシイ・・・・」
でも、俺は海咲としか結婚したくないよ、とごねて居ると、どうやらスタッフも勘違いをしていたと気づいた様で、少し待たされはしたが無事名札を貰えた。
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作者名：若桜 | 作成日時：2019年3月12日 21時
