アイドルなんてキラキラ (ページ10)

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「まあまあ、本家の船山みうはフリーらしいし」

「いや北山さん、本家とかないから！ていうか詳しすぎ！」

「でもさー、マネージャーさんが別れても千ちゃんって気遣ってアプローチできなさそうだよね」

「いや宮っち解析しないでよ！」

でも、宮田の言う事はたぶん図星で。

きっとAさんが別れても、俺は彼女を好きにさせる自信は無い。

俺のこと、男性として彼女が見られるのかすらわからないし。

そもそもこういう仕事してるし、デートもまともにできなければ、結婚だって好きにできない。

…いやいや、まて、結婚て。

やっぱり俺ちょっと重いのか？

すると楽屋を軽くノックする音と共に扉が開いた。

「失礼します、船山みうです、今日はよろしくお願いしますっ」

渦中のその人が入ってきた瞬間、
男ばかりの楽屋は花の香りに包まれた。

挨拶回りだろう、お辞儀をすると際どい服の胸元が更に際どく主張されている。

「あ、え、よろしくお願いします」

さっきまで威勢のいいメンバーは借りてきた猫のように人見知りを発揮する。
俺もそれに笑いを堪えながらお辞儀をした。

すると、

「私、キスマイさんの事大好きで～、うちわ持って毎回コンサート観に行ってたんですよ～」

なんてもう完璧なコメントをする彼女

ようやくメンバーも慣れてきたのか「マジっすか！」なんて元気になってきた(主に二階堂)

「えー、誰のうちわ持ってたんですか？」

北山さんが聞くと彼女は俺をじっと見て

「恥ずかしいから言えませんよ～」

なんて顔を赤くして
「じゃあそろそろ失礼します」と、
花の香りをめいっぱい楽屋に残して立ち去ったのだった。

…んん？

「千賀見てたね」

「うん、ていうか楽屋入ってきた時から千賀見てた。」

「つーか常に千賀に話しかけてなかった？」

ぐちぐちとメンバーが口を開く
いや、そう確かにこっちを見ていて
いやもう俺じゃんって自惚れる訳でもなく確実にそう思った。

そして純粋な嬉しい気持ちよりも、
さっきまで彼女の話題でテンションの高かったメンバーに申し訳なさが…
とか思ってた訳だけど、

「あーやっぱり俺船山みうより秋山優奈だな～」

「わかる～！かわいいよね」

「船山みう実物微妙だね」

いやいやいや、こいつら…
俺の気まずさも杞憂なようで、手のひら返しのメンバーに何もいえない俺であった。

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