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「千賀さん、おはようございます!」


「泣いてめっちゃ浮腫んでると思って楽しみにしてたのに〜」

「ちゃんと目、冷やしたり温めたりしました」



車に乗って現場を目指す。
彼女は次の日、冗談を返すくらいには
たくさん泣いて、元気になったようだった。


今日は雑誌の撮影。宮田と確か一緒だ。

なんかいろいろ聞かれそうだなあ、なんて漠然と考えながら窓の外を眺める。


「千賀さん、本当ありがとうございました」

「えっ、」

「誰かに聞いてもらえないと、多分あんなにスッキリ泣けなかったので」


少し恥ずかしそうにいう彼女。
感謝されるような事してないんだけど、
Aさんがそう言うならよかったのかな。


「はーい、つきましたよ。」

「あ、ありがとうございます」






スタジオに着くとすでに宮田は到着しており
スマホゲームをしている手を止めて

「千ちゃんっ」

と俺に駆け寄る。



「どうだった?」

「あー、うん、美味しかったよ」

「そっちじゃないでしょ!」


キョロキョロと他に誰もいない事を確認して、声のボリュームは抑えめで昨日の経緯を説明する。

宮田は頷きながら真剣に聞くから、本当に気になってたんだなと思った。なんかドラマの結末を聞いてるように反応する。


「え?じゃあ千ちゃん、なんも伝えてないって事?」

「うん、いや昨日じゃなかったの俺の中で」

「ええーっ、ドラマだったら絶対言ってるヤツじゃん」


いやいや、ドラマじゃないんだってと苦笑いする。


「そんなんじゃ誰かに取られちゃうよ?」

「いや、そんなドラマみたいなことある?」

「千ちゃんがちゃんと好きって言わなきゃ!マネージャーさん気づかないじゃんっ

あーなんか今観てるアニメの続きより気にな…」



宮田の言葉がいきなり止まる。
スタジオの入り口をじっと凝視して、めちゃくちゃ気まずい顔をし始めた。

「何?」

振り返えると、

「あ、す、すみません、」

そこにはAさんが顔を真っ赤にして立っていた。

「メイクさん、準備できたみたいで、あっ」

手元にあった今日の資料なんかをバサバサと落として、いつもこんな抜けてる所を見せないAさんがわかりやすく動揺してる。


…今の、宮田の言葉、聞いてた??


「Aさん、あの」

「あ、あの私ちょっと」


言い訳のひとつでもしようとAさんに近づこうとすると、彼女は「ちょっと呼ばれてたので!」と、その場から足早に逃げていった。


えっ

ウソでしょ?

何年も育ててきたこの気持ち、
こんな呆気なく終わってしまうの?




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設定タグ:Kis-My-Ft2 , キスマイ , 千賀健永   
作品ジャンル:タレント
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作者名:soda | 作成日時:2020年6月12日 0時

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