・ side s ページ11
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キスブサ の収録を滞りなく終わらせて、
今日はもう帰宅のみ。
わりとスムーズに終わったし、久しぶりにどっかごはんとか買い物とか寄ろうかなーなんて考えながらAさんの元へ。
「早く帰りましょっ」
「久しぶりに早く終わりましたもんねー
すぐ車出します!」
「Aさんは直帰ですか?」
「いや、事務所戻ります…」
楽屋に戻りながらうなだれる彼女。
このまま帰るなら、ご飯でも誘ったのになあ
残念だ。
「千賀さんと久しぶりにご飯でもしたいですけどね」
なんて、俺が思ってた事と同じ事言うから
軽率にドキドキする俺の心臓。
「えー、そんな事言うなら行きたいじゃないですか。待ちましょーか?」
「いやいや悪いですよ」
すこし笑いながらかわすAさん。
もうちょっと押したら行けない訳ではなさそうで、少し食い下がってみようか?
と思った瞬間。
「千賀さん!」
と、俺を呼ぶ声が廊下に響いた。
振り返ると船山さんが駆け寄ってくる。
収録前のあの楽屋の空気を思い出して苦笑いしてしまう俺。
「船山さん、お疲れ様です」
「お疲れ様ですっ、あの、
LINE交換しませんか!あっいきなりすみません、私実は千賀さんと仲良くなりたくて…」
「ええ、俺とですか?」
はいきた、
なんとなく収録終わりから、ちらちら向ける船山さんの視線に気付いてはいたけれど
…捕まってしまった。
驚いたフリをしながら、ちらりとAさんを見ると少し気まずそうな顔をしている。
「俺LINE苦手ですけどそれでもよければ」
そんな事はないんだけどね
苦肉の策でそう遠回しに牽制して言えば、「全然平気です」と気にせず笑顔で返す彼女。
…もうここまできたらしょうがないという言い方も最低だけど、スマホを取り出してLINEの画面を開く
すると、
「千賀さんそろそろ次の仕事が…」
なんていきなり俺に声を掛けるAさん。
…次の仕事なんて無いのは分かりきっていることで。
けど、Aさんはじっと俺の顔を見る。
「…あ、そう、遅れちゃうとマズいんで、すみません!また今度」
話を合わせて急いで言い上げて、先に歩くAさんを追いかける。
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作者名:soda | 作成日時:2020年6月12日 0時