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ああ今日もかわいい。
俺のマネージャー。
その真剣にパソコンを見つめる横顔も、
運転する気の抜けた顔も、
疲れて眠たそうにベンチにもたれて目を瞑る姿も、
俺のために汗かいて走り回る姿も、
大好き。
「千賀さん、ちょっと聞いてました?」
「はえっ?!」
「また集中切れてましたねー、もう。」
目の前の運転席に座る彼女こそ、
俺のマネージャーのAさん。
Aさんが俺のマネージャーになったのは、I SCREAMというアルバムが出てすぐの事。
それまでずっと男性のマネージャーだったから、
最初は大丈夫かな?きつくないのかな?なんて毎日毎日心配していたんだけど。
小さい体で必死に頑張っている姿を見て、そんな事は杞憂だったと思い知らされた。
朝も夜も、暑い日も寒い日も、楽しい日も悲しい日も一緒に頑張ってきた戦友の様な彼女。
俺が恋心を抱かないはずがなかった。
もう、
気になっていた頃にはだいすきになっていて
ずっとずっと、彼女の事を追いかけてきた。
…本来なら俺が彼女を追いかけさせる様なアイドルにならないといけないんだけど。
「何考えてたんですか?」
「えーなんだと思います?」
「うーん、私のこと?」
「うわ、バレた」
「何それっ」
Aさんはノリも良くて、いちいち俺をドキッとさせる。
冗談にならないんだよね〜その台詞。
彼女はと言うと、完全に冗談のつもりの様でけらけら笑う。
友達みたいな関係も楽しくて、仕事の関係っていうことをたまに忘れそうになる。
「千賀さんは女の子ノリだから楽です」と言われて、嫌がらなきゃいけないところなのになんか嬉しかったし。
「千賀さん、つきましたよー」
「ありがとうございます!」
毎日の送り迎えも2人きりでいれる唯一の時間。
俺の家の前で車を停めると自動で後部座席のドアを開ける。
鞄を肩にかけて車から降りながら、
「今日はこれから高嗣さんの所ですか?」
「…もー、関係ないでしょー」
「またまた、顔がにやけてる〜」
そんな会話をして、乗っていた車はエンジンの音を静かに立てて大通りのほうに消えていく。
見えなくなるまで、手を振った。
高嗣さん、二階堂高嗣にあらず。
俺のマネージャーになる前からのAさんの彼氏の名前だ。
「最近家行きすぎだろー、」
そんな拗ねる様に言った台詞は澄んだ夜空に浮かんで消えた。
俺は不毛な恋をしている。
マネージャーで彼氏持ちの、彼女が好きなのだ。
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作者名:soda | 作成日時:2020年6月12日 0時