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テーブルの上にあるものを二度見する。
真ん中に置いてある、耐熱ガラスの容器に詰まってる黒い物体。
横に置いてあるのは…まあ、こっちは茶碗蒸しに見えなくもない。
「Aちゃん、料理、今度一緒にする？」
「はい、お願いします…」
しょんぼりとAちゃんはUber eatsのアプリをそうそうに開き出す。
きっと俺が料理を食べないと決め付けているようだ。
「ちょっと、Aちゃん、俺食べるよこれ」
「ええ、私食べるんで！横尾さんは美味しいの頼んでください！」
「美味しいかもしんないじゃん！」
ぎゅうっとAちゃんは俺の利き手を両手で掴んでフォークを持たせようとしない。
「横尾さんお腹こわしちゃう〜！」
なんて涙目になって阻止する姿に思わず吹き出す。
「こんなしっかり火入ってるんだからお腹こわしません！」
もうやけになって俺も俺でこの状況を楽しんでしまっていて、席にもつかず無理矢理黒い物体にフォークをさしてひと口分すくう。
中はちゃんとラザニアになってるので軽く安心した。
口に入れるとAちゃんは「ああもう〜」と目をつぶった。
味はというと、焦げているものの、ちゃんとラザニア。
無言で二口目を食べる俺をずっと不安そうに眺めるAちゃん。
「美味しいよ、うん、焦げてるけど」
「ええー、嘘！」
「食べてみなよ」
恐る恐るAちゃんも一口食べると
「ん？うん？いや…食べられなくはないですけど…」
と、複雑な顔をした。
とりあえず、ちゃんと着席してラザニアを取り皿に取り分ける。Aちゃんのほうは焦げてるところを除けて。
「ばか、Aちゃんが作ってくれたってだけで最高に美味しいから大丈夫なんだから。」
「横尾さん…もっとボロクソに言うと思ってました…」
「はあー？言わないよ、
作ってくれてありがとうね」
不安そうにまだまだこっちを見てるAちゃんが愛おしくて、頭をなでなでする。
茶碗蒸しだって表面は火入れが長すぎてカチカチだったけど、中はちゃんと美味しい。
結局Aちゃんの心配をよそにペロリと平らげたので、ようやくAちゃんも笑顔になってくれたのだった。
「横尾さん、すき」
「ハイハイ、明日は一緒に作ろうねー。」
俺がずっと作ってあげるから、
Aちゃんは作れなくても良いんだけどね。
…なんていうと毎日作ってあげなきゃならなくなりそうなので言うのは辞めといた。
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作者名：soda | 作成日時：2020年5月26日 2時
