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ぐいぐいと引っ張られて横尾さんについて行く私。
メンバーに付き合っている事を言ってしまったけど、大丈夫なんだろうか。
前をズンズン歩く横尾さんの顔を覗き込むと口をムッとさせていて。
ついて行った先は駐車場で、本当にこのまま帰るつもりらしい。
ガチャリと助手席のドアを開けてそのまま横尾さんが乗り込む…と思っていたら
「Aちゃん今日はこっち」
と、そのまま私を助手席に誘導した。
少し躊躇してから助手席に座ると、横尾さんも反対のドアから運転席に座った。
こんなに会場を早く出ることも珍しいので、会場の周りにはまだまだファンたちが残っていて。
バレないか不安で色々と思うことはあるけれど。
公演中の出来事も聞いてこない上、さっきのメンバーの前での行動。
横尾さんの顔もあまりまともに見れず、なんとなく叱られた後のようにジッと縮こまるのだった。
すると5分もしないで車が停まって、エンジンも止まる。
「ついたよー」
「…え、」
ホテルまではもう少し距離があるはず。
顔を上げて外を見ると真っ暗で何も見えないけど、ゆっくり開けてくれた窓から聞こえる波の音と潮の香り。
「海!」
目をまん丸にして言えば、横尾さんも無表情な顔が少しだけ綻んだ。
「逗子は行けないし海鮮も食べられないけど、いいでしょ」
そんな事を微笑んで言うもんだから、
シフトレバーが邪魔でしょうがないけど気にせず横尾さんに飛びつくように抱きしめた。
「よしよし」
横尾さんは満足そうに笑うと、私の頭を優しくなでる。
「…俺、大丈夫だよ。
Aちゃんが他のマネージャーになっても。」
撫でながら、横尾さんは駄々をこねる子供に言い聞かすように言った。
なんでも横尾さんはお見通しらしい。
「…何年もやってきたのに、横尾さんの良さを引き出せるのも、私が1番わかってるし、やだ、なんで今更、今まで頑張って、」
優しい横尾さんに甘えるように、泣きそうになりながら思いついた言葉を脈絡なくぶつける。
横尾さんも、うんうんと相槌するたびに撫でてくる。
「横尾さんは寂しくないんですか」
その一言で
横尾さんは撫でていた手をぴたりと止めた。
「Aちゃんは俺が寂しくないと思う?」
横尾さんは抱きしめながら顔を私と合わせた。
真面目な顔をしていて、まっすぐこっちを見るものだから。私も余計に寂しくなってしまった。
「…この前言ったこと、本当にしよう?」
一緒に住んでくれる?
そう言葉を付け足した横尾さんの心臓はいつもくっついてる時よりもドキドキが早かった。
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soda(プロフ) - れんじさん» わあーありがとうございます!!もっとキュンキュンできるようがんばります!!! (2020年4月30日 7時) (レス) id: 058fb893a4 (このIDを非表示/違反報告)
れんじ - めちゃめちゃ好きですキュンキュンします (2020年4月30日 1時) (レス) id: 687054fca2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:soda | 作成日時:2020年4月12日 23時