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「担当の話だけど。」
ドームツアーの終盤。
福岡まで恙無くコンサートは順調に進んだ。
リハーサル中にチーフに呼び止められて、避けに避けていた仕事の話を廊下の端で持ちかけられる。
とうとうあの話をちゃんとする時が来てしまった。
「ちゃんと考えてるだろうけど、これからあっちのグループも本腰入れるから。
…東京に戻ったらそのつもりで。」
わかってはいた。
一旦置いた、「そのつもりで」というチーフの言葉には私が横尾さんのマネージャーを続ける、という意味は含まれていない。
当たり前のように何年も続けた横尾さんのサポートができなくなる。
彼氏彼女の話ではなくて、自分の仕事、人生の内のひとつが私の中から消えるのだ。
そんな大事な話が、寂れた廊下の隅で返事もできないまま終わった。
リハーサル中の横尾さんの声が音漏れして聞こえるのが余計に悲しかった。
「会いたかったよー!福岡っ」
横尾さんは順調にステージに立って本番をこなす。
アイドルらしくキラキラしていて、歌が始まれば本当に歌もダンスも上手になったなあなんてしみじみ思う。
周りをみても、オレンジの光が沢山光っていて、
これは横尾さんの努力の結晶。
そんな事を考えながら、横尾さんを見てしまうものだから、目がじんわり潤んできて
このツアーが終わったら、私は横尾さんのマネージャーではなくなるという事実。
考えないようにしても、
どうしようもなく
涙が溢れるのだった。
キタ ガヤ タマ ヨコ ミヤ ニカ セン!
好きずき 好き勝手すぎ キスマイっ
そんなハッピーな歌詞を歌っている、横尾さんと
目があってしまった。
ファンに人気の自己紹介曲。
私も毎回、グループの良さが出ていて大好きな曲だ。
次は横尾さんの歌割りなのに
「なんでもやりま…、」
その歌詞の途中、私の涙に気づいたらしい
息を引くように、横尾さんは、そのパートを歌えなかった。
一瞬でドーム中の空気がピタリと動かなくなる。
おいっ!と藤ヶ谷さんが笑いながら横尾さんの肩を軽く叩くと、
横尾さんはというとハッとした顔をしたあと、もう一度こっちを見て、周りに軽く苦笑いしながら
謝るのだった。
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soda(プロフ) - れんじさん» わあーありがとうございます!!もっとキュンキュンできるようがんばります!!! (2020年4月30日 7時) (レス) id: 058fb893a4 (このIDを非表示/違反報告)
れんじ - めちゃめちゃ好きですキュンキュンします (2020年4月30日 1時) (レス) id: 687054fca2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:soda | 作成日時:2020年4月12日 23時