・ side y ページ44
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「…横尾さん、着きましたよ」
意外にも眠りは浅く、Aちゃんの声で起きる
きょろきょろと窓越しにいつものマンションが見えた。
時計を見るといつも30分くらいで着くのに1時間以上かかっていて、俺が寝たあとも渋滞だったことが読み取れた。
「ありがと、ごめん、めっちゃ寝てたね俺」
「いえいえ、いびきかいて気持ちよさそうでしたから」
「嘘っマジ?」
「嘘です」
Aちゃんは意地悪な顔をして笑った。
なんだよーと彼女のほっぺを軽くつまむと、「いたいいたい」と笑うので俺も頬が緩む。
あーなんか、ようやくほんとに緊張の糸が緩んだ。
「じゃあ、ゆっくり休んでください」
「えっ、家来ないの?!」
「明日もあるんだから休んでくださいよ」
Aちゃんはそう言うと、困ったように笑った。
完全に家に来るものだと思っていたのでかなり肩すかし。このコンサートが終わったあとの寂しさというか、余韻を共有したかったのになあ。
「Aちゃんは、一緒に居たくない?」
そう少し寂しそうに言うと
んー、とちょっと悩んだ。
「パピーたちも会いたがってるよ?」
ダメ押しの一撃。
犬の事を言えばAちゃんは「少しだけですよ?」なんて、すこしうきうきした顔になった。
「わーパピー久しぶり〜!テトも元気?」
家に上がると、うちの子達に駆け寄るAちゃん。
すりすりと頬擦りする姿に、すこし羨ましいなんて思ってしまう。
冷蔵庫からビールをちらつかせて、
「Aちゃんなんか飲む?」
「いや私車ですよ!」
「じゃあ俺のもーっと」
目の前で乾いた喉にビールを流し込むと
Aちゃんは羨ましそうに唇を噛み締める。
「んっま」なんてにやにや笑うと、Aちゃんはゆっくり近づいて無言で俺が持っていた缶を奪うと、結局、口をつけるのだった。
「やったー、帰れないね」
「まだ電車はありますから」
そんな、思ってもないような事を言うAちゃん。
「帰らないくせに」とキスをしたら、
Aちゃんも笑って、唇で押し返した。
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soda(プロフ) - れんじさん» わあーありがとうございます!!もっとキュンキュンできるようがんばります!!! (2020年4月30日 7時) (レス) id: 058fb893a4 (このIDを非表示/違反報告)
れんじ - めちゃめちゃ好きですキュンキュンします (2020年4月30日 1時) (レス) id: 687054fca2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:soda | 作成日時:2020年4月12日 23時