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いつものように、指定の時間より早く着く。
ああ、インターホンを押す指が少し戸惑う。
…仕事は仕事なのでそんなこと言ってられない。
意を決して1003、呼び出しボタンを押す。
「お、おはようございます」
『はーい、今行きます』
横尾さんのいつもどおり素っ気ない返事が返ってくる。
なんだか救われた感じがした。
どきどきと待っていると帽子とマスクに身を包んだ横尾さんが大きなガラス張りの玄関から出てくる。
「おはよー、お酒抜けた?」
優しく、そう聞くものだから
「はい」
としか言えないのであった。
車に乗って、いつものFMラジオが流れている。
今日はちょっといつものおもしろパーソナリティの話も耳に入ってこない。
何だかんだ朝の挨拶から一言も喋ってないのだ。
沈黙が続く車内に痺れを切らして先に口を開いたのは横尾さんだった。
「Aちゃん、昨日なんだけど」
その切り込み方で会話を始める横尾さん。
忘れて、とか?応えられない、とか?
少しバックミラーを見るのが怖くて、前を走る車をじっと見てしまった。
「…俺、Aちゃんの事、ちゃんとしたいから」
そうゆっくり言った。
ちゃんとしたいっていうのは
マネージャーとタレントの線引きという事だろう。
…終わった。
ああ、お酒に頼って、あんな事をしてしまった自分が恥ずかしい。
それにこれから横尾さんのマネージャーを続けなくてはいけない、地獄だ。
「横尾さん、すみませんでした。」
「へ?」
「好きになっちゃいけないってわかってたんですけど、私、横尾さんに勢いであんな事しちゃって、本当自分の事しか考えてなくて」
言葉が束にならないで、ぼろぼろと口からこぼれ落ちる。
自分でも何言ってるんだろうと悲しくなった。
車でよかった、無理に後部座席を見なくても不自然じゃない。
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soda(プロフ) - れんじさん» わあーありがとうございます!!もっとキュンキュンできるようがんばります!!! (2020年4月30日 7時) (レス) id: 058fb893a4 (このIDを非表示/違反報告)
れんじ - めちゃめちゃ好きですキュンキュンします (2020年4月30日 1時) (レス) id: 687054fca2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:soda | 作成日時:2020年4月12日 23時