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「…Aちゃん?ちょっと、おーい」
「あ…横尾さん、お疲れ様です」
そんな事を考えていたら収録は終わっていたらしい。
ぐるぐると考えていた脳内を遮るように横尾さんが顔を覗き込んだ。
「惜しかったですね」
「難しいねー、もうちょい勉強しないと」
そう言う横尾さんの顔はなんだか格好良いというか、真っ直ぐな目をしていて、
どきっとした。
どき?
「あ、そうだAちゃん、今日帰り送らなくていいや」
伏し目がちにそう言う横尾さん。
「え、いいんですか?」
「うん」
あれ、この感じは、さっき予想していたアレじゃないか。
お疲れ様、とそのあとに付け足すと足早に横尾さんはスタジオを去って楽屋に戻っていった。
ぽかんと背中を眺める私。
会社的にジャニーズは恋愛禁止ではない、堂々と結婚を発表するタレントもいるし、デビューさえしていればあとは自己管理で任せてしまう。
横尾さんの恋愛に口出しするとしたらファンの為にバレないように、としか言えないわけで。
…本当は、
朝から気づいていないわけではなかった。
機嫌のいい顔も、
いつもより荷物が多そうなバックパックも
ちょっとだけ、おしゃれになった服装も。
あんまり彼女ができた事を考えたくなかったのかもしれない。
なんで?
なぜかすこし
スタジオに残されたのが置いていかれたように感じて、寂しくなった。
「あー、Aさん!」
「あ、千賀さん。お疲れ様です」
そんな中、共演していた千賀さんが私に気付いて駆け寄ってくる。
「あれ?横尾さんもう行っちゃいました?」
「行っちゃった?」
「あ、横尾さん最近ずーっとスタジオこもってダンス練習してるから、今日はせっかくだし、
あの、Aさんいるなら一緒に送ってもらおうかなあ〜なんて」
もじもじとする千賀さん。
え?
そういうこと?
「え、ツアーの練習って事ですか?」
「ああ、横尾さん、すごいですよ。毎日。
Aさんにも言ってなかったんですね」
そういうと千賀さんは男前だなー、なんて冗談交じりに感心した。
なんだ、
…彼女の家ではなく、練習スタジオに通い詰めていたらしい。
朝気になってしまった荷物でパンパンのバックパックも、着替えじゃなくて練習着ってこと?
…なんだ、
「千賀さん、横尾さん先いっちゃったけど送りますよ」
「え、いいんですか?やったっ」
自分でもこの感情はわかりやすすぎて、
気づかないふりも抑える事も私にできるのだろうか?
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soda(プロフ) - れんじさん» わあーありがとうございます!!もっとキュンキュンできるようがんばります!!! (2020年4月30日 7時) (レス) id: 058fb893a4 (このIDを非表示/違反報告)
れんじ - めちゃめちゃ好きですキュンキュンします (2020年4月30日 1時) (レス) id: 687054fca2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:soda | 作成日時:2020年4月12日 23時