【炎炎ノ消防隊】浅草の月明かり (ページ26)

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🌙(紅丸side) ページ26

時折俺の事を呼びながら魘される火蛍を布団に寝かせ紺炉と優介の居る部屋に行く

紅丸「てめぇら、俺が戻るまで火蛍の傍に居てやってくれ」

ﾋｶ「任せとけ若！」ﾋﾅ「優介の奴ぶん殴ってこい！」

今の火蛍を一人にするわけにはいかねぇからヒカヒナを部屋に居させる

紺炉「来たな」

客室に座る優介を向かいに座る紺炉の横に腰を下ろす

優介「……」

紅丸「何があった訳を話せ、場合によっちゃてめぇをぶん殴る」

優介「…貴方は本当に荒っぽい…火蛍さんが悩むのも頷ける…」

紅丸「あﾞ？今俺のことは話しちゃいねぇんだよ…」

優介「っ…」

奴の胸ぐらを掴むが紺炉が横で宥めるから離してやった

優介「……皇国でご飯を食べて映画を見て買い物をして…至って普通の休日を過ごしていました

日が沈みかけていた頃、僕達は帰路を歩いてる時に皇国に来たのは初めてじゃないかもしれないという話を火蛍さんから聞いたあと…

突然頭が痛い、胸が苦しいとその場で倒れてしまったのです…知らない事が次々と流れてくると…」

紺炉「そんで火蛍を抱えて詰所に来てくれたんだな」

記憶喪失…火蛍は浅草に来る前の記憶をすっかり失っている

皇国に行ったことで思い出す引き金になったんだろう

優介「一体火蛍さんは…火蛍さんは昔、何があったんですか？お二人なら知っているのでしょう？」

紅丸「……てめぇには関係ねぇよ」

優介「僕にはもちろん関係ありません…それを知る権利なんてないです…

だけど火蛍さんには教えてあげないんですか？思い出せないとしてもあんなに苦しんでるんだから教えるくらい…」

紅丸「ああそうだてめぇが知る権利なんてねぇし火蛍と出掛けるのも話す権利だってねぇよ」

紺炉「おい紅！それは違ぇだろ…」

ああ分かってる、それは言われなくともわかってる

紅丸「あいつの苦しみも痛みも見ている景色だっててめぇには分からない」

俺だってわかんねぇ…火蛍の痛みなんぞ感じる事ができない

紅丸「火蛍がてめぇに話しかけるのは致し方ねぇが今後は関わんじゃねぇ」

優介「は？貴方、何様なんですか…いくら浅草の長でも火蛍さんの幼馴染みでもそんなこと言われる筋合いなんて…！」

紅丸「……」

無意識に胸ぐらを掴み振り上げた拳が紺炉によって制止される

紺炉「……若、落ち着いてくだせえ」

優介「っ…」

紅丸「……頭冷やしてくる」

俺はそれだけ言い残し部屋を後にした