ファイナルミッション 11 ページ19
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「半分は同意するよ」
「半分？」
「うん、半分。俺もきっとこの瞬間を思い出したら、寂しくなると思う」
隣に立つフェテクを見遣ると、彼は慈愛に満ちた眼差しでメンバーたちを眺めていた。
「でも残りの半分は違うと思うな」
「残りってなんですか？」
「Aの人生はね、ここがゴールじゃ無いってこと」
フェテクはゆっくりと私に振り返った。
保護者が子供を見つめるような優しい眼差しで、頭に疑問符を浮かべる私に語りかける。
「君の人生はここで終わりじゃ無い。勿論、俺の人生だってここで終わりじゃ無い。デビューメンバーに選ばれても、選ばれなくても。
これから長く続く人生の中で、辛いことも楽しいことも沢山経験していくんだ。君は今が人生で1番幸せだって言ったけど、それを余裕で超えてくる幸せが、この先の道で君を待ってる。
数年後振り返った時に、両手じゃ数え切れない程他愛もない幸せな思い出で溢れてる筈だ。今のこの瞬間は、その一つに過ぎない」
一つ一つ、彼は丁寧に言葉を続けた。
小さな子供に言い聞かせるように、私の瞳から視線を1秒たりとも逸らさずに。
「だからね、大丈夫だよ、A。怖がらなくていいんだ。寂しいかもしれないけど、孤独を感じる必要はない。これからも俺たちが仲間であることには変わりないからね」
薄い膜が私の視界を覆っていくのを感じた。
思わず顔を逸らし目線を地面に向けると、フェテクの細い指が私の頭を撫でるのを感じた。
「...じゃあ、僕戻ります」
「そうだね、そっちも撮影が始まる頃だろうし」
「ありがとう、ございます」
声が震えて上手にお礼が言えなかった私に、フェテクはふっと笑みを溢した。私は恥ずかしくて、足早にその場を去る。
油断すると雫が目から溢れてしまいそうだった。
私は恐れていたのだ、この日々が終わってしまうことに。
フェテクは見抜いていたのかもしれない。
私が怖気付いていたことを、一言��大丈夫��の言葉が欲しかったことを。
合宿が終わった後のことなんて考えたくなかった。
またあの灰色の日々に逆戻りだと思っていたから。けれど、その思い込みは違ったのかもしれない。
この日々が終わってしまっても、今までとは違う。
今の私には大切な兄が、弟が、友人が、仲間がいるから。
足を一歩進めるたびに、涙は渇いていった。建物の入り口に立つユジンを見つけ、私は大きく手を振った。
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ダリア(プロフ) - 更新ありがとうございます！ (3月14日 22時) (
レス) @page25 id: 942cc2825c (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - 続きが見たいです😭 (12月30日 14時) (レス) @page24 id: 5c6fd2a21e (このIDを非表示/違反報告)
無添加 - 感動してます、本当に更新されてる、、生きててよかった、、、です。 (9月26日 2時) (レス) id: 5066827cbd (このIDを非表示/違反報告)
すいみ(プロフ) - ダリアさん» こちらこそ嬉しいコメントありがとうございます💘この亀更新なのに待っていただけたなんて嬉し過ぎます😭あと少し、最後まで見守っててください✨ (9月17日 23時) (レス) id: 112579e6aa (このIDを非表示/違反報告)
ダリア(プロフ) - 更新ありがとうございます😭ずっと続きが気になっててほんとにありがとうございます😢😢 (9月11日 17時) (レス) id: 942cc2825c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すいみ | 作成日時：2023年6月16日 23時
