先 輩 後 輩

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　あの一件を思い出す度に頬が火照りそうになる。







　何事もなく帰宅できたのはいいんだけど、それまでのやり取りがどうも……。








　善逸とクレープを食べに行った時に交換した連絡先。








　確認の挨拶以降、一度も連絡を取り合っていない。









　……………クレープ。








　あ、いかん、思い出した。





　唇柔らかかったなぁ……。









　まてまてやめろやめるんだ。









　あれは成り行きだし。









　いやどんな成り行きだよ。









　思い出すほどに恥ずかしくなり、机に頭をぶつけた。








胡蝶「大丈夫ですかぁ〜？」

　『………あいむふぁいん』

胡蝶「それはそれは良かったです」









　全然感情こもってねぇな。








胡蝶「不死川先生、すっごく睨んでましたよ」

　『あれ、数学だったっけ』

胡蝶「そうです数学です。因みにAちゃんの机の上にあるのは国語の教科書です」

　『ほんとだ』









　どうりで分かんなかったわけだ。








　ていうか、知ってたなら教えてよ。





　幸いぶっ飛ばされなかったからいいけど。









実弥「───個別指導でもしてやろうかァ？」

　『…………結構です』








　何処からともなく現れる強面。





　怒りの籠った薄ら笑いに身震いする。







胡蝶「悩み事ですか？」

　『悩んではいない』

胡蝶「恋ですか」

　『冨岡義勇』

胡蝶「あはは、誰ですかそれ〜〜」








　黒い笑顔が怖い。






　けど、しのぶは優しいから、話せば真剣に聞いてくれるであろう。





　その後は確実にネタにされるんだろうけど。









実弥「馬鹿でも恋はするんだなァ」







　本当に教師かこいつ。








　『…………私馬鹿じゃないし』

胡蝶「ご冗談を」

実弥「馬鹿だろ」









　教師とは。







　友達とは何ぞや。









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