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再び回ってきた牛島先輩のサーブをなんとか返した烏野は、相手のセッターが何処に上げるのかと意識を走らせる。しかしそのボールは高く上がることなく烏野側へ。
＿＿＿突然のツーアタック。瞬時に反応した月島くんが僅かに触れるも、それを得点に繋げることは叶わなかった。
前のめりになっていまいそうな状況にも関わらず冷静でいられるその精神力は尊敬に値する。まさに【烏野の理性】──月島くんの脳内にはあらゆる情報が放り込まれ、それを今ひとつずつ着実に組み立てているのだろう。
波風の立たない表情を瞳に映していると、相手のスパイクを上手くチャンスボールへ変えてみせた日向くんが声を上げる。それを繋いだ月島くんからのボールを、土壇場のツーアタックで相手コートへ落としたのが飛雄だった。先程のツーアタックに腹が立ったのだろう。セッターとは皆ああも負けず嫌いなのかと疑問が浮かぶ。
『やると思った』
「ひぃ〜、寿命が縮みそう」
『分かるよ仁花ちゃん、私も同じ状況になってる』
その後も長い攻防が続く。連続で点を取るということがこれほどまでに難しいのかと、目の前で繰り広げられる熱い戦いを観て知った。球体が烏野側へ返ってくるたびに心臓が縮むようで、ずっと握り締めている黒猫はすっかり湿ってしまった。
捉え続けていた青と黄色のボールは再び牛島先輩の勢いあるスパイクへと繋がるが、白鳥沢の得点に結び付くことはなかった。
＿＿＿月島くんが、それを止めてみせたから。
「あの牛若を止めた」と観客席からどよめきと吃驚の声が響き、それをぼんやりと聞きながら立ち尽くす姿を瞳に映した。表情の分からない面貌が僅かに落ちると、天高く宙を掴んだ拳を振り下ろして狂喜に吼えた月島くん。初めて見た彼の感情的な姿に、肋骨の内側から熱いものが広がっていく。
『月島くん・・・』
──”無駄に熱いのとか疲れるだけでしょ”
──”僕はあの人達みたいに体力馬鹿じゃないんで”
──”まぁ観ててよ、それなりに止めてみせるから”
積み重ねてきた記憶が一瞬にして脳内を支配していく。部員達から激励を浴びる姿を中心に捉えると、堪らなく涙が溢れそうになった。きっと月島くんにとって、この一本のブロックはとても意味のあるものだったのだろう。
＿＿＿彼が本当の意味でバレーボールに嵌る瞬間。
まさにそんな感動的な尊い瞬間を、
今この場で目の当たりにしたようだった。
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惠音(プロフ) - mbftmmさん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます！独特な書き方をどう感じてもらえるか不安だったんですけど、そう言っていただけて本当に嬉しいです....！まだまだ物語は続きますので、最後までお付き合い頂けると幸いです！！ (10月12日 10時) (
レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - yokyo586さん» 励みのお言葉ありがとうございます！影山くんとのお話だけど、月島くんの良さを出来る限り表現していきたいと思いまして....！幸せだけじゃなくて切なくて辛い感じとか、リアルな恋愛を書くよう心掛けていますので....そのへんも楽しんで頂けたら幸いです！ (10月12日 10時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
mbftmm(プロフ) - 主様は天才ですか？天才ですね？きゅん死寸前です……言葉の綴り方も上手で世界に入り込んでしまう…！！！応援してます！！！！！！ (10月12日 0時) (レス) @page11 id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
yokyo586(プロフ) - 切ない···影山大好きなのに、月島を応援したくなっちゃう···読み手の心を鷲掴みに出来る作者様すごすぎます！キャラの心情や背景がすっごく分かりやすくてスっと物語に入れちゃいます！ (10月9日 21時) (レス) @page11 id: 1b6531e2bb (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - まゆ華さん» この作品を見つけてくださってありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです....！これからも楽しんでもらえるように頑張りますので、よろしくお願いします！ (10月4日 20時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惠音
| 作成日時：2023年9月30日 19時
