続き ページ43
放課後デートはお出掛けではなかったのか…いや、確かにお茶しようとは言ってたけどどこか行きましょうとは一言も言っていなかった。
まぁ悪い子じゃないからいいか。
彼の両親は旅行に行っているらしく、一週間チーノくんは1人で留守番だそう。
「寂しいんです」
なんて子犬のように言われたらどうしても可哀想になってしまって、お邪魔させてもらっている。
ソファに私を誘導して、お茶をいただき、チーノくんとゲームをしながら談笑していた。
ゲームもそこそこに、床に座っていたチーノくんは私の隣に座る。
「先輩は、部屋に、男女2人で、ほんと無防備ですね？」
『だって、チーノくんは私の嫌がることはしないでしょ？』
「……ずるいっすわ。分かっててやってるの」
チーノはそっと笑うと、
「ね、先輩。嫌なことはしないから。後ろ向いて？」
『…ん』
チーノくんに背中を向けてソファに座れば、チーノくんからバックハグされる。
いつもと同じ。いつもと同じなのに、なんかドキドキして。
あぁ多分、鬱くんとショッピくんがいないからだな、なんて勝手に納得する。
「………未希」
ふと、ぎゅうと強く抱きしめられたかと思うと、耳元でぼそっと呼び捨てで名前を言われる。
なんだかチーノくんじゃないみたいで、ドキドキする。
いや、ほんとは分かってたんだ。前から。
チーノくんのことが好きだって。
でも、なんとなく気恥ずかしくて気付かないふりをしてた。そんなことお構い無しにチーノくんは抱きついてきたわけなのだが。
『…チーノくん？』
「ん…先輩…俺、本気で、先輩のこと好きっすよ………」
『……チーノくん』
「…………………なんすか」
『見て見ぬふりしてたけどね、私も前からチーノくんのこと好きだよ？』
「えっ！？」
私を抱きしめる力が弱くなって、驚いた声が耳元で聞こえる。
私は恥ずかしくなって手で顔を覆い、チーノくんに顔を見られまいとする。
「先輩」
『…ん？』
「俺と付き合ってください」
『……私でよければ、ぜひ』
「うわぁ……俺人生で一番緊張したかも」
『他の人のとこ行ったらしばくから』
「行きませんよ。俺は先輩一筋です」
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作者名：あおたん | 作成日時：2019年8月3日 15時
