続き ページ25
「シャオちゃん……Aは、よーやったよ。軍人の鑑や。まずは、感謝しよーや」
大先生にそうなだめられ、全員……Aの横にいたエミさんも立ち上がり、列になり、Aに敬礼をする。
戦死なんて、今まで何人も見てきた。
けど、幹部が死ぬのは初めてやった。
死ぬのは仕方ない。軍人の定めだ。
でもいざ居なくなると、どうしていいか分からない。涙が止まらない。
俺…お前に直接謝れてないんだよ。
女だからって言ってごめん。
お前をバカにしてるわけじゃないんよ。
お前が心配で、お前が、大切で。
お前に危ない思いをさせたくなくて。
ごめん。ほんまにごめん。
謝っても謝っても、Aからの返事はない。
死んで欲しくなかった。ずっと俺のそばにおってほしかった。
あの時無理やりでもエミさんを押し切ればよかった。グルッペンに直談判でもすればよかった。
そうすれば！！
そう考えていたら、俺の考えを読んだかのように、エミさんが俺の肩に手をおく。
「シャオロンさん。Aさんは作戦の変更は望まなかったと思うで」
「でもっ」
「Aさんは自分の責務を全うした。誇らしいことです。
彼女、息を引き取る前にこう言ってました。
『最前に置いてもらえるのは名誉なこと。信頼されてて嬉しかった』って。
……彼女は戻ってこない。なら、Aさんを誇り、先に進みましょう。
『振り返るな、前を見ろ』
それが、彼女が最後に私たちに残した言葉です」
エミさんが涙声になりながらそう告げると、ゾムやチーノが泣きだす。
俺も、涙が止まらない。
改めて、Aに向き直り、「ほんまに、ごめんな……」と呟くと、サイドテーブルに何かが置いてあるのが分かる。
それはメモだった。
【シャオちゃん、ごめんね】
「っっ……………おれ、、俺も………ごめんな………！！ありがとう……………っ！」
次の日、俺らは墓を作った。
ひとらんに頼んで畑の近くに。
俺は毎日手を合わせに行っている。
するとな、なんだかAに会えてる気がするんよ。
「ありがとう」
そう毎日言ってる。
さ、書類が残ってたな。戻るか。
『……………ありがとう、シャオちゃん』
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作者名：あおたん | 作成日時：2019年8月3日 15時
