数時間目を瞑って / izw ページ44
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ローテーブルを前に2人並んで座って、拓司くんの右腕に頭を預けるように、寄りかかる。頭が働かなくてぼーっとして。時々目を擦って、咳をして。あー、しんどい。
「薬は?」
『一応飲んだけど、効かない…』
「あー、目擦らないほうがいいんじゃない」
『んーだって、』
この季節、暖かくなって過ごしやすくなってきたな、と思ったら、すぐ飛び始めるあいつ。所詮、花粉症というやつだが、今年は何故か例年以上に花粉に苦しめられている気がする。
いつも鼻水と目の痒みだけで、咳までは出ないのに、今年は咳も出るし、息苦しい。おまけに、昨日友達と長電話をした影響か喉が痛くて、若干声が掠れている。
ここ1年自粛やら何やらで、外に出ないことも続いて、体力完全に落ちたな、なんて、こんなタイミングで実感したりして。
「鼻赤い」
『んー、もう、むり、っくしゅ、あーーー』
ティッシュの使いすぎで、少し赤くなった鼻と、一文でも喋れば出るくしゃみと。それに対して項垂れるように出す掠れた声、という女としては最悪な状況に、彼はもはや笑っている。
なんで、こうして恋人と会う時に限って、症状がひどいんだろうな、神様って意地悪だほんとに、なんて。笑ってる彼を目を擦りながら見上げれば、擦っていた手を取られて、軽く唇を合わせられる。
「ふ、龍角散の味する」
『あーーー、もうやだー』
「ははっ、いいけど別に」
喉の痛みを和らげるために今日は1日中、喉あめの袋が近くにあるが、キスしたときの味が龍角散の味なんて、可愛さのかけらも無いな、ほんとに。
「何している時が1番楽?」
『ええ、起きてる時間ずっと、つらい』
そういえば、さらに笑われて。かわいそうなんて言われるけれど、絶対面白がってるなってのが目に見えて分かる。
あーなんて、両手で目を擦りながら唸っていれば、そのうち私は泣き出すのではないか、みたいな状況だ。隣で、うーん、なんて少し悩んだ拓司くんは、立ち上がって私の手を引いて。
寝室まで連れてこられて、一緒に横になる。まだ外は明るくて、何をする気なのかと思って、見れば笑われて。そのまま腰に手がまわってきて。
「お昼寝、しよ。俺もちょっと疲れちゃった」
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エンスイ(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます!リクエストは受け付けているのですが、今書いているメンバーでいただけたらと思っており、tmrさんは私自身も雰囲気等あまり理解できていない部分もあり難しいかもしれないです……。今後機会があれば書かせてください…! (2021年2月22日 2時) (レス) id: 275b77238f (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ - はじめまして、いつも読ませていただいてます。リクエストなんですが、tmrさんを出来ますか?出来たらよろしくお願いします。これからも頑張って下さい。 (2021年2月20日 23時) (レス) id: 192c096d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エンスイ | 作成日時:2021年2月17日 12時