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ホールの中。その中にただ1人、日々樹 渉がいた。
そしてそれを追いかけ、逆先 夏目もいた。
夏目｢ねぇ、やっぱり師匠は負けるつもりなの!?｣
渉｢もうやめません?その師匠っていうの。
わたしはあなたに何も教えたつもりはないんだけど｣
夏目｢そっちにその気はなくても、
こっちは勝手に学んだから。
子供騙しの手品でも、人を不幸にする詐欺でもない。
《本当の魔法》をね｣
渉｢いいえ、あなたは何も学んでいません。
悪い魔法にかけられてずっと異界で遊んでいただけ。
あなたは普通のいい子ですよ｣
夏目｢師匠、僕は｣
渉｢なのでそれは、どこかに仕舞っちゃってください｣
渉｢目敏いね。そう、これが僕の思いついた魔法。
師匠は台本通りにしか踊れない。
ならば五奇人がfineに勝利する筋書きを用意すれば良い。
僕、ううん、僕たちが頑張って書いたんだよ。
嫌な奴にも、これまでバカにした奴にも頭をさげてさ。
何度も徹夜して、死に物狂いで!
僕たちも、五奇人も、……………叶恵も、
ハッピーエンドに辿り着く権利はあるでしょう!?｣
渉は本を受け取り、夢物語だと断言する。
他人を少しだけでも踏み躙って仕舞えば、本物の怪物と化す。
でも、というと、咄嗟に零の名前が出る。
いつの間にか入口には朔間 零がいた。
零｢やっぱ気づいてたかー。相変わらず目敏いな、渉｣
夏目｢零兄さん……………｣
渉｢あなたは目立つんですよ｣
零｢おいおい渉、俺を誰だと思ってんだよ。“俺様”だぞ?｣
渉｢えぇ、あなたは朔間 零ですね。
我らが魔王、世界中の誰よりも人間味の溢れた怪物
あなたに看取ってもらえて、わたしは果報者ですね｣
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作者名：星空ブリキ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Buliki/
作成日時：2023年4月7日 10時
