繰り返す邂逅/第七話 ページ23
向こうも鍵を持っているのだろう。マスターキーでも合鍵でもない、正当なものを。鍵穴とぶつかる音がしたが、手応えのなさに首を傾げたのか動きをとめたのがわかった。
まずい、と直感で理解する。急激に汗が吹き出し、先刻までとは違う理由に手が震え出した。同時に胃が焼けるような動揺を感じ、朱肉と印鑑を引き出しに仕舞うものの……随分とあっけなく、扉は開かれてしまった。
「あれ、鍵かけ忘れたか〜？おかし、い……」
入ってきたその生徒は、最後まで言葉を発さなかった。青柳色の大きな目に侵入者を映し出し、疑念の色を濃くする。が、嫌悪感よりも驚きや焦燥のほうが強く見られたかもしれない。
私も焦りこそすれ、然のみ落ち着きがないわけでもなかった。冷静に彼がどんな人物かを図ってしまう。
【龍王戦】の、ステージの裏で会った青年だ。
若い美しさを隠すことなく、長い前髪をピンで留めている。ブレザーの襟には六芒星のピンバッジ。青色のネクタイは彼が2学年であることを表す。
「……あんた、前に会った……会いましたよね？その制服、えっ？プロデューサーは北斗たちのクラスだし……誰、ですか。ここで何してるんですか？場合によっちゃ、副会長を呼び――」
「待って！あのっ、違うの、頼まれて……」
「頼まれて？え、なんの話？誰にですか？」
捲し立てるように質問され、その勢いに負けそうになったあまり本質的でない言い方をしてしまった。言葉に邪推を深めたらしい彼が眉をひそめる。不自然だ、怪しい、そんな懐疑的な情調が漂った。
「そこ、生徒会長の席なんすけど。機密情報とかあるんで、困りますよ〜？何してたんですか？」
危険人物というよりはただの不審者と判断されたのだろう。小さく溜息を吐いてこちらへ向かってくる。無防備にも机に出したままにしていた、すっかり印の乾いた申請書が彼の目にとまった。
「……参加申請書？『UNDEAD』？これ、俺らも出るやつだ」
「えっ？」
申請書の文字をなぞる指が、『S1』の表記の上で停止した。零された事実に私は目を見張る。
生徒会役員で、『S1』に出場するとなると、まさか……。本当に、まずい人に見つかってしまったのかもしれない。変な汗が再び吹き出す。『Trickstar』が、零さんが、転校生ちゃんが目論んだ全てのことが、私ひとりの失敗で台無しになってしまうなんて。
「あの、私……」
「――あぁ、すみません。俺、『Trickstar』の衣更真緒って言います！」
……今、何て？
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更科(プロフ) - あひる様さん» お返事遅れてしまってごめんなさい。読んでくださる方がいる限りは頑張ってみようと思います。応援ありがとうございます。 (2021年5月28日 23時) (
レス) id: 749f88a822 (このIDを非表示/違反報告)
あひる様 - やばい！物凄く！！！好きですぅううううう！！！頑張ってくださいっ！！！！応援してます！！！ (2021年5月20日 23時) (レス) id: fee7c2866e (このIDを非表示/違反報告)
更科(プロフ) - 姉系チート2号（データ消えちまった成）さん» こんにちは。わざわざコメント頂きありがとうございます！今は更新が難しい状況なのですがきちんと書きたいという思いはありますので、ゆっくりお待ちいただければと思います。 (2020年2月3日 11時) (レス) id: 749f88a822 (このIDを非表示/違反報告)
姉系チート2号（データ消えちまった成）(プロフ) - 達筆な文章に惚れました！無理はしない程度に、更新を楽しみにしています！ (2019年12月17日 13時) (レス) id: 41a0229c91 (このIDを非表示/違反報告)
更科(プロフ) - さくぷらさん» さくぷらさま、コメントありがとうございます！返信が遅くなり申し訳ありません…。儚く透明感のある主人公を目指しておりますので大変光栄なお言葉をありがとうございます。ゆっくりになってしまいますが更新頑張ります！ (2018年3月29日 11時) (レス) id: d6f890f9ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：更科 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年11月29日 18時
