暁月/4 ページ38
返事に迷ったのは、一瞬。口から勝手に台詞が溢れる。
「はあ。そう思うならご勝手に」
……クロ先輩にすっごい失礼な返事したよ私!?
作戦を始めてからそっけない対応が身についてしまったんだよね。鬼龍先輩は私を妹みたいだなんていいながら優しくしてくれたから、罪悪感も人一倍だ。
無表情で言い放った私を見て、少しだけ目を丸くする鬼龍先輩と、後ろで殺意たっぷりに刀に手をかけようとして蓮巳先輩に止められる神崎先輩。ごめんなさい、この流れ笑いそうになるよ。
「……そうか。まあ、Aが他人を傷つけるなんて、よっぽどの理由があるんだろうけどよ、駄目なもんは駄目なんだ。……良かったら理由を話してくれねぇか」
優しい口調で、鬼龍先輩は言う。見た目は怖い、なんて言う人が多いけど、見た目も優しさが滲み出てるよね?
「鬼龍殿、無駄である。此奴、誰にも何も語らぬのだ」
同じくらすのとりっくすたぁの面々が話していた、と神崎先輩が語る。確かに私は「お話することはない」とかいいながら皆の疑問を交わし続けてはいるけれど。
「なんで言わねぇんだ。……何か、隠し事でもあんのか?」
それは、鬼龍先輩の純粋な疑問だったんだろう。けれど私は過剰に反応してしまった。ビクと肩を揺らした私を、蓮巳先輩は見逃さなかった。眉を顰め、「本当なのか?」と聞いてくる。
「別に」
「そうやってはぐらかすのか?得策ではないな、早く吐いておいた方が身のためだぞ」
蓮巳先輩の眼鏡のレンズが、ぎらりと光る。そんなこと言われても、
「まだ……」
まだ言えません、といいそうになって、私は慌てて口を噤んだ。
「まだ?」
残念。ばっちり聞こえていたようだ。ぶわっと変な汗が吹き出る。……窮地を救ったのは、またもや神崎先輩だった。
「人をいじめ、傷つけていることになんの隠し事があるというのだ」
わざわざ聞いても意味がないであろう、と、練習を促す神崎先輩。それを聞いた蓮巳先輩は頷いて、時計を見た。
「そうだな。少し、説教が長引きすぎたようだ。今からレッスンに入るぞ。鬼龍は裁縫道具を片づけて、神崎は早く着替えろ」
「御意!」
「ああ、悪りぃ。あんずの嬢ちゃんから頼まれた衣装でよ」
あ、あんず先輩からだったんだ。トリスタのやつか、流星隊のやつかな?
ともかく、レッスンに私がいるわけには「おい、どこに行く?貴様がレッスンするんだろう」……マジですか!?
結局、その日はスタジオには行けなかった。
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とくくくめい - もう、ほんと、この小説の司くんが、まじ愛おしいほど大好きです!!!!!!!この小説に出会えた事が本当幸せです!すごく面白いですハラハラさせられます!!! (2017年8月19日 17時) (レス) id: d661f7493a (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - みかん☆さん» いえいえ、コメントありがとうございます!なるほど……そういう発想もありましたか…!!しかし花みたいに綺麗な噂ではないところが欠点です笑 応援ありがとうございました! (2016年9月22日 18時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
みかん☆ - 鬼龍さん!!火のないところに煙はたたぬとも言いますけど根がなくとも花は咲くとも言いますよ!!(これが言いたかっただけ) 最新のところにコメントじゃなくてすみませんが、更新頑張ってください!応援してます! (2016年9月22日 15時) (レス) id: 2b73766c3c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 月永 巡さん» ギャアアアアこちらにもコメントいただいてたんですね…!今気づきましたありがとうございます!!knightsとのじゃれあいは書いてて楽しいです、嬉しいコメント本当に本当にありがとうございます! (2016年8月29日 16時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
月永 巡(プロフ) - すっっごい好きですこのお話!!!! もっと早く出会いたかったっ...! もうKnightsとの関わりが楽しすぎです(;∀; )!! 大事に読ませていただきますっ(`;ω;´) (2016年8月25日 21時) (レス) id: f2838a14db (このIDを非表示/違反報告)
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