物語はまだ、始まったばかり/0(side敬人) ページ49
……遅い。
「何をやっているんだ、衣更は。集合時刻はとっくに過ぎているぞ」
いつもは15分は前に着いていて、テーブルのセットなどを終わらせてくれているのに。まさか、何かあったのだろうか。
「真緒なら、2-Aにいたよ」
同じユニットの子たちとなにやら話しているみたいだったけれど、と英智が独り言の様に呟く。……は?
「あいつ、まさか……今日が生徒会の緊急会議だということを忘れているんじゃないだろうな」
「え〜、それはないよ!だってサ……衣更先輩、ボクに「会議忘れんなよ」って言ってきたし!!」
それで遅刻なんて、他人のこと言えないよね!と姫宮がそっぽを向いた。
「まあまあ、敬人。そんなに怒らないであげてよ。きっとあの子たちとも、これから僕らがするのと同じ話をしているだろうし」
余程俺の顔が怒っているように見えたのか、英智は自分の頬を人差し指で軽く押す。「ほら敬人、笑顔笑顔〜♪」……なんなんだこの幼なじみは。
だが、英智。俺が怒っているのは、衣更のことだけではないんだ。
「じゃあ、衣更が来る前に聞きたいんだが。……日々樹、貴様なんでここにいる?」
射抜くように、英智の隣で控えている日々樹を睨む。姫宮が、「うわっ、本当だなんでいるの!?」とイスから転げ落ちそうになった。こんなに存在感があるのに、何故気づかなかったんだ。
「今から、生徒会の会議をはじめる。貴様は部外者だ、出て行け」
「おおう、怖いですねぇ……。ほら敬人、笑顔笑顔〜♪」
「黙れ射るぞ」
こうなったら、力づくで追い出すしかないか……そう思案していると、英智の声が飛んできた。
「僕が呼んだんだよ、敬人」
は?
「貴様は、何を勝手に……」
説教でも聞かせてやろうか、と英智に近づくと、口を手で塞がれる。「何も、理由がないわけじゃない」英智はそういうと、楽しそうにもう片手に顎を乗せた。
「これからする話……。分かってるだろうけど、Aちゃんたちについてだよ。それで、僕は渉を呼んだんだ。彼は彼女と仲が良かったからね。ねえ、渉?」
微笑した英智が、日々樹を見る。だが、日々樹が何か返す前に、生徒会室の扉が勢いよく開け放たれた。
「すみません、遅れました!」
「サル、おっそーい!」
駆け込んできた衣更に、姫宮が文句を飛ばす。それをたしなめた英智は、俺から手を離すと両手を組んで、それを顎にのせた。
「じゃあ、全員揃ったことだし。早速、始めようか」
____物語はまだ、始まったばかり。
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紅茶が凍っちゃった - 今28話なんですけど、アスターの花言葉に信じる恋っていうのがあって死ぬかと思いました… (2022年12月30日 12時) (レス) @page28 id: 4e52f11739 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - まだ途中ですが、leaderと草食べるのところで盛大に笑ってしまいましたwww最高ですもう、アメイジングさらっと言っちゃう主人公ちゃんも面白いですwww (2017年8月14日 2時) (レス) id: 9cb245a304 (このIDを非表示/違反報告)
もっちり兎(プロフ) - チベットスナギツネで検索かけてしばらく爆笑してました。面白くて、大好きです!(この小説がです!) (2017年6月12日 22時) (レス) id: e54c16753f (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 匿名さん» ご指摘、誠にありがとうございます。つきましては、お手数をおかけしますが改悪だと感じられる箇所をお教えいただけると変更しやすいので、お教えくださると幸いです。 (2017年6月10日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 二次創作の裏切りはキャラの改悪につながり、原作のイメージダウンとなりうる可能性があります。なので作品のパスワード保護、または改悪部分の変更、又は作品の削除をお勧めします (2017年6月10日 19時) (レス) id: 41b9136f09 (このIDを非表示/違反報告)
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