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「ケータイどこやねん……」
何故かなくなったケータイを探すため、生徒会室を飛び出した私は中庭にやってきていた。教室、スタジオはいくら調べてもなかったので、手始めによく来る中庭に落ちてないか探しにきたのだ。
しかし、地面に這いつくばってウロウロしてる私、コンタクト探してる人みたいじゃん。コンタクトしたことないし、何故か関西弁になってるけど。
ともかく、自動販売機の下もみたし花壇の中も確認した。ない、どこにもない。
ちなみについさっき昼休みは終わり、5時限目に突入した。本鈴に間に合わなかった時点で「あ、サボろう」としか思えなかったのだ。
「『さがしもの』は」
ふと上から声が降っていて、私は弾かれたように顔をあげる。途端、目にうつる濡れた制服と、噴水の縁にもたれかかる先輩の姿。
「これですか?」
先輩ーー深海先輩のその手には、私のケータイが握られていた。
「!せ、先輩、これどこで!?」
「ふんすいにういてました。がめんも、われています。きっと、もうつかえないですよ」
うわ、マジだ。カバーだけでなく本体画面にまでも亀裂が何本か入っていて、銃で撃たれたみたいになっている。
「噴水って、まさか」
「いいえ。ぼくじゃないです。ぼくがきたときには、もうありました。それより、ぼくのあげたおさかなさんの『すとらっぷ』つけてくれてるんですね。うれしいです……♪」
ああ、深海先輩優しい。さっき鬼(蓮巳先輩)みたからかな。
「ともかく、ありがとうございました!」
お礼だけいい、立ち去ろうとすると引き留められた。
「A」
「なんですか?」
「……あなたは、ほんとうに『わるいこと』したんですか?』
……ぷか先輩、知ってたのか。興味なさそうなのに!
「ぷ……深海先輩には、関係ないでしょう」
あ、ぷか先輩っていいかけた。やばい。
すると、深海先輩は少しだけ目を丸くする。そして、身をひくくすると、噴水の縁に頭を乗せて語り出した。
「……ぼくは、ひとの『きもち』をかんがえない『あくい』はきらいです」
深海先輩の瞳が、ジッと私を見てくる。なんかわからないけど照れるわ。
「これでもヒーローですから。いつだって、『せいぎ』のみかたです」
そういうと、深海先輩はふわりと笑った。もしかして……バレてる?
全く、深海先輩はどういう心境なのかわかんない。
けれど、深海先輩はそれだけ言って、「ぷかぷか〜♪」と水の中に倒れこんだから、それ以上聞くことは出来なかった。
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紅茶が凍っちゃった - 今28話なんですけど、アスターの花言葉に信じる恋っていうのがあって死ぬかと思いました… (2022年12月30日 12時) (レス) @page28 id: 4e52f11739 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - まだ途中ですが、leaderと草食べるのところで盛大に笑ってしまいましたwww最高ですもう、アメイジングさらっと言っちゃう主人公ちゃんも面白いですwww (2017年8月14日 2時) (レス) id: 9cb245a304 (このIDを非表示/違反報告)
もっちり兎(プロフ) - チベットスナギツネで検索かけてしばらく爆笑してました。面白くて、大好きです!(この小説がです!) (2017年6月12日 22時) (レス) id: e54c16753f (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 匿名さん» ご指摘、誠にありがとうございます。つきましては、お手数をおかけしますが改悪だと感じられる箇所をお教えいただけると変更しやすいので、お教えくださると幸いです。 (2017年6月10日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 二次創作の裏切りはキャラの改悪につながり、原作のイメージダウンとなりうる可能性があります。なので作品のパスワード保護、または改悪部分の変更、又は作品の削除をお勧めします (2017年6月10日 19時) (レス) id: 41b9136f09 (このIDを非表示/違反報告)
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