目と目が合う/5 ページ24
「それと、目をそらすときは縦に逸らした方がいいらしいぞ。横だと拒否してる感じに見られるんだって」
そ、そうなんだ……。たまに横に逸らしちゃったりするんだけど、皆を嫌な気分にさせてたのかも。なんて一度ネガティブ思考になれば、あのときのあの人は私と話したときに困った顔してたな、とか、嫌なことばかり反芻してしまうわけで。
「……ぁの、さ、朔間さん」
「あ?なんだよ」
この人は語気が強いから、普通の人と話すより怖い。それが羨ましい反面、一層声が震えてしまう。
「さ、さっき、逸らしたらなんかって……」
すると朔間さんは、ああ、と頷いた。
「生ハムサラダ奢って貰おうとしたんだけど、気が変わった。A、ここ座れ」
命令形で言われたら、従うしかない。いうことを聞かなかったら何されるか……。
朔間さんが叩いた棺桶の蓋の上に、ゆっくり腰掛ける。あ、わりとひんやりしてる……。
「よしよし、そのまま動くなよ〜?」
隣でやけに愉悦げな笑みを浮かべた彼は、そのままゆっくり私に手を伸ばして____
そのまま、私のお腹をくすぐり始めた。
「ほぉ〜ら、こちょこちょ〜♪」
「っ、ほぅえっ!?」
びっくりして、可愛らしさ皆無な素っ頓狂な声が出た。
「ふ、ふふっ……やめ、やめて、くだひゃ……!」
「罰ゲームっつってんだろ〜、甘んじて受け入れろよ」
ニコニコと笑いながらくすぐってくる彼から逃れようとして、棺桶の上に倒れこむ。髪がほつれて、多分今私はすごいみっともない姿だ。
そして、私は____朔間さんの笑い声と、自分の笑い声のせいで、開く扉の音に気がつかなかった。
「零にいさん、ちょっといいかナ?次の実験を考えてきたんだけド、零にいさんにもアドバイスをもらいたくテ____」
入ってきた彼は、鮮やかな赤髪に純白の混じった少年。さすがの私でも覚えている。最初ここまで案内してくれた逆先さんだ。
視線を私に向けた彼と、ちょうど目があった。数秒の沈黙後、彼は頰を紅潮させて顔を歪める。
「ちょ、ちょっト、零にいさん____そういうことハ、ちゃんと鍵をかけてやっテ!!!!」
「……は?」
言っている意味が分からなくて、私は自分の体制をよくよく見てみる。
……棺桶の上に倒れこんで、髪を乱れさせる私。そんな私をくすぐっている朔間さんは、ちょうど私を押し倒しているように見える。
「……っ!!」
気づいた瞬間、私の顔も真っ赤に染まった。
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まめだいふくもち(プロフ) - こたつさん» こたつさん、ご指摘誠にありがとうございます。漫画などでよく見る表現だったのですが、なにか事件が関連していたのですね…。勉強になりました。つきましては、その表現を修正させていただきます。コメントありがとうございました! (2017年10月29日 15時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ - ドラム缶に東京湾というワードは某事件を連想させるので修正した方が良いのではないでしょうか? (2017年10月29日 9時) (レス) id: ae4fce482d (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 抹茶粉さん» 抹茶粉さん、コメントありがとうございます!とてもとても嬉しいです…!私もれいさんにプロデュースされたい!という思いから書き始めたので、光栄です笑 (2017年8月2日 22時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶粉 - 零さんにプロデュースされるなんて夢見たいです…!もう始まりから胸のきゅんきゅんが鳴り止みません!笑 続き楽しみにまってます!更新頑張ってください! (2017年7月26日 16時) (レス) id: 634a139de2 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - ベリーさん» ベリーさん〜!ご指摘ありがとうございます。修正してまいりましたのでご確認ください。そして、またこのような事態があればお知らせください。 (2017年1月14日 13時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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