鋭敏なるフリズューア/4 ページ16
かなり不機嫌そうにしながらも「しゅう」さんは私に「ついてきたまえ」と一言、そのまま早足で歩いていく。ビクビクしながら置いていかれないように必死についていくけど、このひと、歩幅が広い……！
しばらく歩いたら、漸く彼は止まった。目の前の扉を開けて、彼は私を促しながら中に足を踏み入れる。恐る恐る、私も一歩踏み出した。
その、瞬間だった。
「お師さん、おかえり〜！」
陽気な声がして、無様にもびくっと反応してしまう。影片、としゅうさんが呟いた。
「あまり品のない大声を出すな」
「んあ〜、だってお師さん、急におらんなるもん。どこいってたん？」
「零のところに行く、ときちんと言ったはずだが。君についている耳は飾りか何かかね？」
やけに辛辣なしゅうさんは、烏の濡れ羽色と表現するのに相応しい髪色をした少年を睨みつける。堪忍なぁ、と申し訳なさそうに手を合わせた彼は、次に私の存在に気づいた。
「んあっ、お客さんおったんやね？気づかんかったわぁ。お師さん、この子誰？」
「零から預かってきた。今から此奴の髪を切るから、影片は大人しくしていたまえ」
はーい、と元気よく頷いた少年を見届けて、しゅうさんは棚を漁り始めた。一方、少年は私を観察するようにそのオッドアイを向ける。恥ずかしくて目線を落とせば、彼はぽつりと呟いた。
「……女の子や」
何故だか不思議そうな声色に違和感を覚えるも、彼はパッと人懐こい笑顔を浮かべたので、少し安心する。
「おれ、影片みか言うんよ。ほんで、あっちで準備してるんは斎宮宗言うておれの尊敬するお師さんや！その様子やと、お師さん自己紹介してへんみたいやったから一応。……君は、名前なんて言うん？」
「あ……と、佐倉、佐倉……」
「さくらちゃん言うんやね〜！可愛いお名前やわぁ♪」
しまった。緊張して、苗字しかいえなかったのを名前と勘違いされたみたいだ。でも今更否定はできない。
「おれ、男の人苦手なんよ。だから、久々に女の子とお話出来て嬉しいわぁ〜♪いつもは人見知りやしこんなに話せんのやけど、さくらちゃん大人しいから話しやすくてええなぁ」
……これは、褒められているのだろうか。馬鹿にされているのだろうか。少なくとも、悪意はなさそうだけど。
「こら、影片！さっきから喧しいのだよ、邪魔になるから部屋から出ていけ」
なかなかひどいことを言われているけれど、影片さんは特に気にした様子もなく笑顔で部屋を後にした。……不思議な人。
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まめだいふくもち(プロフ) - こたつさん» こたつさん、ご指摘誠にありがとうございます。漫画などでよく見る表現だったのですが、なにか事件が関連していたのですね…。勉強になりました。つきましては、その表現を修正させていただきます。コメントありがとうございました！ (2017年10月29日 15時) (
レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ - ドラム缶に東京湾というワードは某事件を連想させるので修正した方が良いのではないでしょうか？ (2017年10月29日 9時) (レス) id: ae4fce482d (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 抹茶粉さん» 抹茶粉さん、コメントありがとうございます！とてもとても嬉しいです…！私もれいさんにプロデュースされたい！という思いから書き始めたので、光栄です笑 (2017年8月2日 22時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶粉 - 零さんにプロデュースされるなんて夢見たいです…！もう始まりから胸のきゅんきゅんが鳴り止みません！笑 続き楽しみにまってます！更新頑張ってください！ (2017年7月26日 16時) (レス) id: 634a139de2 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - ベリーさん» ベリーさん〜！ご指摘ありがとうございます。修正してまいりましたのでご確認ください。そして、またこのような事態があればお知らせください。 (2017年1月14日 13時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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