23#ドライヤーの罠 ページ21
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あれから四日が経ち、ようやく空に晴天が戻った。
城内もどこか活気が戻ったような感じがして、人知れず足が軽くなるような心地だ。
相変わらず私の生活に変わりはないが、強いて言うならあるお二方と最近よく目が合うなという程度か。
それは誰か、率直に言うと一人はシャオロン様。そしてもう一人は、鬱様だった。
ふとすれ違う時、シャオロン様はじっと私の顔を見つめてくる。
それは私を人工知能だと思っているからで、そこに"カティ"と会ったときのような熱はない。
恐らくだが……まぁ十中八九、「似ている」と考えているのだろう、と自分でも思っている。
そしてこちらは意外、鬱様だ。
総統ほどではないものの、彼の考えていることというのは読み取りづらい。いつも飄々、のらりくらりと我が道を歩んでいる印象だ。
彼からの視線は、シャオロン様とはまた少し違っていた。
目が合ったと気付いた次の瞬間にはすでに視線は外されていて、近付いてくる気配などはない。
しかもそれが何というか、横目で見ているといった風なのだ。どういうことかというと、観察されている感じがすると言ってもいい。
ただの"女タラシ"の範疇か――あるいは。
今日の最後の仕事である浴場の片付けを終わらせた時間帯だった。
使用済みのバスタオルの入ったカゴを両手に抱えて、廊下を歩く。
伏線は、思い返せばいくらでもあったのだと思う。
例えばその浴場が幹部専用で、当然今歩くこの廊下も、幹部がたの居室が集まった棟のものであること。
例えば今私が単独であったこと。例えばよく目が合うなと考えていたこと。
――例えばつい先程通り過ぎた部屋が、彼の居室であったこと。
「――なぁAちゃん、ちょっと頼まれてくれへん？」
後ろからかかった声に、私は唾を飲み込む。
そして不自然にならない程度に、おもむろに振り向いてみせた。
『……何かご用でしょうか――鬱様』
風呂上がりの濡れた髪に煙を馴染ませながら、自室の扉に寄りかかって。
このときばかりは彼も、視線を外すことなくこちらを見据えて笑っていた。
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江之子(えのこ)(プロフ) - ささん» 初めまして、コメントありがとうございます。最新話のみならず読み返しまでしていただけるとは…。どうぞ、これからも長々とこの作品をご愛顧してもらえたらと思います！応援感謝です。 (2017年6月6日 16時) (
レス) id: d4b2bfad59 (このIDを非表示/違反報告)
さ(プロフ) - 初めまして。えのこ様のお話が大好きです。最新話を追いつつ初めから読み直しては楽しませてもらっています。これからも応援しております！ (2017年6月6日 15時) (レス) id: 91a8ff52f5 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - ahirudokuro112さん» コメントありがとうございます。毎日気にかけてくださるほど印象を残せたこと、一書き手としては嬉しいばかりです。それをこうして文字にして伝えてくださったことをとてもありがたく思います！今度とも、どうぞよろしくお願いします。 (2017年6月4日 0時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
ahirudokuro112(プロフ) - 初めてコメントさせてもらいます。いつもとても楽しく読ませて貰ってます。気づけば毎日朝と夜に更新されてないかチェックするのが日課になってます笑。ぜひこの気持ちをお伝えできたらとコメントさせていただきました。 (2017年6月3日 23時) (レス) id: f8fb3df520 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - 井戸らさん» コメントありがとうございます。私の場合、気が付いたらこんな文体になってまして、くどいかな…とドキドキしながら書いてる面があるのですが…。それを褒めていただけるのは何より嬉しいです。今後もお楽しみに！ (2017年5月27日 23時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2017年5月22日 1時
