ダイスキデス 2

残される者(ニカ千×宮玉)1 ページ25

二階堂 side



トンっ。

俺の肩に頭を預けた千賀。

シャンプーの匂いに誘われるようにそっと目をやる。

半開きになった口元を晒す姿に、やっと眠ったんだ、と安堵する。

さっきまで寝心地が悪いのか、少しだけ倒した座席の上で、窓側を向いたりタオルを枕代わりにしたり、肘の位置を変えたり･･･と試行錯誤 ゴソゴソしていたが、結局落ち着いたところが、俺の肩だったということに、俺自身も満足して顔がニヤけてしまう。


地方のコンサートの帰りの新幹線。
メンバーもスタッフも疲れ果てて、大半が眠っている。


ニヤついた顔がバレないように、キャップを目深にかぶり直し、持っていた漫画に再び目線を戻す。が、通路を挟んで隣にいた宮田の視線は痛い程感じる。


｢何？」

何も言わせないと言わんばかりに、漫画から目も話さずぶっきらぼうに、訊ねる。

｢いや、何もないよ。
だた二階堂 機嫌良さそうだなと思って♪」

宮田は、こちらと同じく肩に寄り添って寝ている玉森を気を遣ってか、小さな声で返してきたが、その声色は明らかにすべてを見透かしていた。


俺の感情に気づいてるんだけど、あえてはっきり言葉にしない。
宮田はそういう奴だ。


｢そりゃ、やりたい事思い残すことなく出し切ったんだから、機嫌は良いだろ？」

｢そうだね。まぁ、来週もあるけど。まずは大阪公演は披露できたからね」



｢披露できた」の言葉にお互いの想いが重なったのがわかった。



急遽 決まった冬コン。

準備にかかる時間は限られてて、基盤となる夏コンのセトリに、やりたい曲や季節の曲などを差し替えて構成を練ることになった。

千賀が『絶対やる!!』って意気込んでいた俺らニカ千の曲は、大人の事情が絡んで組み込めるか危ぶまれたが、ファンの想いや、俺らの強い希望もあって、無事に披露することができた。

もう少し時間が取れれば、2人での演出がもっと出来ただろうけど、睡眠時間を削って俳句にダンスにピアノにとたくさんの宿題を抱える千賀の負担を少しでも減らそうと｢声で魅せよう」と提案したのは俺。
千賀は、嬉しそうに頷いてくれた。



そして同時に思い出される、宮田と玉森。

あんなに本気で悩んでた宮田は、初めて見たかもしれない。

宮田の性格上、コンサートの構成や演出、衣装やダンスなど、たくさんの決め事にも、いつもすんなり同調していた。

でも、あの時の玉森の一言に、めずらしく宮田がガチで拒否したんだ。

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