ダイスキデス 2

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藤ヶ谷 side



｢おいっ弟組っ、兄組はまだ行くって言ってねーしっ｣

渉が勝手に話を進めていく、年下メンバーの会話を制する。


｢えぇー。わったーは来てくんないと困るんだけど。
せっかくの花見なんだから、美味しいもんたべたいじゃん？｣


玉がいつもの、ゆるい感じで、渉を振り返る。


｢太輔やみっちゃんだって、舞台や映画のロケで、スケジュールいっぱいだろ？
裕太だって、映画のロケはじまるじゃん？
そんな時間無いって｣


渉はいつも現実を見ている。

この送迎車の中にはヒロがいない。


映画の撮影の真っ最中のヒロは、あとで合流するが、早朝から深夜までスケジュールが抑えられていて、同棲している俺でさえ、あまり会えていない。

しかも、アルバム作成やコンサートの準備も始まり、あんな小さな身体でどこからそんなパワーがと思うくらい、何もかも全力で取り組んでいる。

そんなヒロにこれ以上負担はかけられない...。


｢がやぁー、わったーを説得してよ。
みんなで花見しよーよぉー｣

猫なで声で、玉が俺におねだりしてきた。

｢俺も正直、今の時期はきついかな。
北山も忙しそうにしてるし...。
夏のBBQまでお預けかな｣


｢えーー。夏まで待てないよー。
ミツに聞いてみよー｣

玉はまだ諦めてない。




そんなことを話している間に、車は撮影現場へと到着した。


そこにはスタッフさんと打ち合わせをしている、ヒロの姿。

久々にゆっくり顔を見せたヒロは、以前より少し髪が伸びた気がする。


｢おーお疲れぇー｣

車から降りてくる俺らを迎えてくれた。


｢だいぶ忙しそうだけど、ちゃんと食べてる？｣

早速、渉が母力を発揮している。

｢うん。毎日美味しいロケ弁頂いてますよ♪
てか、舞祭組、ドラマ撮ってんだろ？
どーよ、ドラマの主役は？
玉も映画ロケ、もーはじまってんの？｣

みんなと一斉に会話を始めるヒロ。

そして、俺を見ると、
｢久しぶりだな。｣
と軽く微笑んだ。

それだけのことで、深く安心する。



｢ねー、ミツ、休みないの？
みんなで花見しようってなってんだけど...｣

｢たまぁ、まだ、決まってないだろ？
そんで、むちゃ言わないの？｣

玉と渉の会話が再び。


｢へー、花見ねぇ。いーじゃん。
焼肉するぅ？｣

ノリノリのヒロに、渉が、｢でもスケジュールがっ...｣って、やっぱり制してる。


｢あー、スタッフさんと話してたんだけど、ライブの中身とかみんなで詰めないといけないし...花見しながら相談しますか？｣

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