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――今回折れたのは私のほうだった。
触っただけでも分かる数か月分の厚さに、使い道はどうしようかと悩む。
ただやっぱり疑問なのは、何故これを渡すタイミングが今なのか、という点だ。
『……ありがとうございます。では、行ってまいります』
「はい、お願いします」
部屋を出て行く私の背中に、最後にかけられた台詞。
「グルさんには、ちゃんと言ってあるからね」
『……！』
驚いて振り向いた私を待っていたのは、それこそにやりと笑ったエーミール様だった。
――なんだ、そういうことか。
おつかいの内容など、最初から何でも良かったのだ。私が城下に下りる理由になれば、それで。
他の誰でもなかったこと。このタイミングで給料――もといお小遣いを渡されたこと。
単なるおつかいに、わざわざ総統に一報を入れてまで、私を選んだ訳は。
「あぁもちろん、言い忘れてたけど、そのお金は君の好きに使っていいからね」
『エーミール様……ありがとうございます』
ようやく疑問が解けた私は、今度こそ素直に礼を述べることが出来た。
着替えたのち、仕事で手一杯なはずのエーミール様がわざわざ門まで見送りに来てくれた話は、まぁ余談ということで。
こうして私はなんと、二度目の城下街を、気兼ねなく一人で散策する機会を得る。
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夜風−yorukaze−(プロフ) - とても面白くて、サクサク読めます！これからも頑張ってください！ (2020年4月26日 17時) (
レス) id: 58cfefca5b (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - wlthzさん» コメント、ご意見ありがとうございます。一言についてですが、このスタンスをとれるのも紙媒体の小説にはないサイトの魅力だと考えていますし、これを気に入ってくださる方も居るので、今後は思いついたときに挿入するスタイルに変更しようと思います。 (2017年7月24日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
wlthz(プロフ) - コメント失礼します。１話終わるごとに挿入される一言で興が削がれます。物語自体は面白く読ませて頂いているので、そこだけが少し不満です。 (2017年7月24日 19時) (レス) id: 45eb196b6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2017年5月9日 0時
