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そこそこの分厚さがあるそれは、洋服の一着や二着なら十分に事足りそうだった。
『まぁ、誰に? エーミール様? それとも、総統様かしら』
「いえ、うちの隊長殿です」
『護衛隊の隊長、っていうと……まさかトントン様?』
「はい」
書記長の他に、ユリアの所属する護衛隊の隊長という肩書きももっている彼。
あぁいけない。想像の中でも隈をつくっていらっしゃる。
「今日のことを報告しておいたら、是非にとこれを」
『……そうだったの』
釘は差しておいたつもりだったのに、やはり私を気にかけてくれていたか。
そのことに対して申し訳なさと、素直な嬉しさとが交錯して、思わず苦笑が洩れた。
だがしかし、せっかくの厚意を無碍にするのもまた、失礼に値するだろう。
『じゃあ、今日はご厚意に甘えましょうか。トントン様にお礼もご用意しなきゃね』
「はい」
さて、そうと決まれば何を買おうか。ユリアとお揃いで、何かを買い揃えるのもいい。
最初に手にとったのは、真っ赤な花が装飾された白いスカートだった。
そういえば、彼は赤い薄手のマフラーを愛用していたような。そう、赤はあの人の色だ。
直接会って、お礼が言えれば良いのだが。
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夜風−yorukaze−(プロフ) - とても面白くて、サクサク読めます!これからも頑張ってください! (2020年4月26日 17時) (レス) id: 58cfefca5b (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - wlthzさん» コメント、ご意見ありがとうございます。一言についてですが、このスタンスをとれるのも紙媒体の小説にはないサイトの魅力だと考えていますし、これを気に入ってくださる方も居るので、今後は思いついたときに挿入するスタイルに変更しようと思います。 (2017年7月24日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
wlthz(プロフ) - コメント失礼します。1話終わるごとに挿入される一言で興が削がれます。物語自体は面白く読ませて頂いているので、そこだけが少し不満です。 (2017年7月24日 19時) (レス) id: 45eb196b6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:江之子 | 作成日時:2017年5月9日 0時