ホンキのコイ【縁下力】 (ページ16)

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16.自覚ページ16

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俺はこの前みたいにかっこいいことが言えなかった。
俺自身、どうしたいのかがわからなかった。

「何で俺なの」

そう、呟くことしか。
俺別に顔も中身も平凡だし
特になにか目立って出来るわけでもない。
そんなに思ってもらえるような存在じゃない。

「遠足のとき……私クラスに馴染めなくて一人だった。ヤケになって一人で楽しんでたけど……
やっぱり本当は寂しかった。
力くんがあんなに優しくしてくれたのが嬉しくて、力くんのこと好きになってから友達がたくさん増えて。それで、もっと好きになったの。力くんは、皆から好かれる人だから」

元カレは、それを聞いてうなだれた。

「もう……俺にチャンスはないんだな」

「ごめんなさい」

元カレは、やっと帰っていった。

「あのさ……花岡さん。部活見に来て。部活のあと、話そう」

俺は、それだけ行って部活へ向かった。

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「逃げるなよ」

部活終わり。俺は、待っていてくれた花岡さんの手を掴んだ。

「逃げないよ」

怯えているようにも見える花岡さんは
いつものような笑顔がない。

「俺のこと、好きって言ってくれたよな。じゃあなんでメッセージ返信しないんだよ。教室にも遊びに来ないし。好きじゃなくなったって思うじゃんかよ」

「だって力くん、体目当てなんでしょ！
そんな風に好かれたって嬉しくないもん！！！そもそも私のこと好きじゃないでしょ！？話しかけたり連絡したりもいつも私からじゃん！それに、私のこといつまでたっても名前で呼んでくれないし！」

「ば、バカかよ！？体目当てならとっくにそれだけお願いしてるわ！！それに呼び方とか、そんなもん関係ないだろ！？なんて呼んでたって俺はお前が…………」

そこまで言って、自分の気持ちにやっと気がついた。
バカは俺か？
いつの間にか………俺は……。

「変なことして誤解させたのは謝るよ。ごめん。ただ二人きりになりたかっただけなんだよ」

彼女のことを、好きになっていたのに。
それがわからなくて、言わなくて。
傷つけて。

「俺、Aのこと…好き…なんだと思う」

それを伝えないと、始まらなかったんだ。