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どんな獲物も
痕跡を残さずに逃げる方法など無い
猟に冬が適している理由は
‘’草や木の葉が少なくて見通しが良い‘’
のと
‘’まだ雪の残る春の山は追っ手に有理‘’
だということ
「笹薮のほうを歩くぞ
その方が追跡が遅れる」
マタギである谷垣は
山でどう逃げれば追っ手が困るか
知り尽くしているのである
それをAが知っているわけではないが
「待ち伏せして
仕留めるべきか・・・」
「さ、さむい・・」
カタカタと游雲が震える
「い、一発だけじゃ仕留められないぞ
どうするんだ？」
「・・逃げ続けて勝機を待つ」
逃げ続けて、か
でも私は逃げれても谷垣の足だと
距離を取るのも難しいかもしれない
そんなとき、雪の中に
足跡を見つける
「谷垣、これ・・」
「？
ヒグマの足跡だ
あっ」
何を思いついたのか
谷垣が立ち止まる
「クマの親子は足跡を消すために
子供に親の足跡の上を歩かせる
猟師でも良く見ないと騙される、
クマの知恵だ」
「谷垣、猟師だったのか？」
「東北のマタギだ」
「へぇ〜」
だから笹薮を通ることも
着ていた毛布を汚すことも知っていたのか
「この足跡を踏んでいこう」
「うん・・・でもこれヒグマいない？
大丈夫？この足跡追って行って」
「・・慎重に行くぞ」
なんだよ今の間
嫌だよ？ヒグマの餌になるのは
「・・大丈夫だ、見ろA
足跡の持ち主が埋めた鹿だ」
数分歩いて行きついたのは
綺麗に埋められている鹿の死骸だった
こんなに綺麗に埋めるものなのか
ヒグマというのは
「ヒグマの足跡を消せ
俺に考えがある」
「・・分かった」
念入りにヒグマの足跡を消した後、
鹿の死骸を抱えながらその場を移動する
「鹿の死骸なんてどうするんだ」
「ヒグマは鼻が良い
自分の獲物を取られたら
鹿の匂いをたどって必ず追いかけてくる
そこを狙う」
「じゃぁ尾形達をヒグマの餌にするのか？」
「まぁ、そうなるな」
日露戦争がつい最近起こった時代で
人を殺すことに何も感じなくなった兵士は
多くいるとは思うが
(目の前にそんな人間がいると
ゾッとするな・・)
谷垣の後ろにつきながら
重い鹿を背負いながら歩いた
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山猫(プロフ) - とても好きです面白いし最高です。 (2021年7月26日 17時) (
レス) id: 182d2e66db (このIDを非表示/違反報告)
ミンミンゼミ(プロフ) - お粥??さん» コメントありがとうございます。うまく文章が書けてるか心配ですがそう言っていただけて嬉しいです！ (2020年12月17日 8時) (レス) id: 0fbf39fe02 (このIDを非表示/違反報告)
お粥??(プロフ) - とても面白いです！これからも無理をしない程度に頑張ってください (2020年12月16日 22時) (レス) id: 8cc28a00da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミンミンゼミ | 作成日時：2020年12月16日 13時
