拾壱 休息日.2日目.夕,続 ページ16
月が綺麗な晩だ。
近くに橋があったから、そこに向かう。
川に写って、まるで月が2つあるみたいだ。
月明かりに照らされて、影が出来ていた。
少し冷たい風が頬を撫でる。
ふわっと甘く懐かしい匂いが鼻をくすぐる。
ふと足元に目線を落とすと、さっきまでは無かった自分ではない影が、ひとつ。
『今晩は』
「…どうも。今晩は」
月は相手の背後で光っている。
暗くてよく見えないが、きっと相手は微笑んでいるのだろう。
何処からか感じる、鬼の気配。近い。
『貴方はどこから来たの？突然現れたものですから…』
「そうですねぇ…月から。
…… と言ったら驚きますか？」
『ええ、驚きますとも』
「当たり前だ。そんなことは夢でしかありえない」
『お名前を伺っても？』
「俺は＿＿。ふふっ、そこら辺にいる鬼ですよ」
『やはり鬼か…』
「なんだ、鬼って分かってたの？」
『気配で』
「へぇ、そうなんだ。君とここで会えるなんて…」
『何処かで私達、会っことがあるの？』
「いえ、俺が一方的に見たことがあるだけですよ」
『それにしても、如何して私を襲わないの？』
「君、鬼狩りでしょう？強そうな、ね。
それに今夜は月が綺麗だ。こんな夜は俺は早く帰りたい」
『へぇ、そんな鬼もいるのか…』
「そろそろ行かないと。また会いましょう」
『そう、次会う時は貴方の頸を頂きますけれどね』
…… 去っていく彼。否、鬼の風に靡いた髪は
私と同じ、桃色の毛先の髪だった。
髪飾りにそっと触れる。
『そんなこと、無い、か…』
料亭に戻る足取りは、何処かおぼつかなかった。
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舞(プロフ) - 更新頑張ってください^ - ^ (2020年10月11日 21時) (
レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
音涙(プロフ) - 梅雨さん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます！頑張りますね！ (2020年4月5日 7時) (レス) id: 8511fd69ef (このIDを非表示/違反報告)
梅雨(プロフ) - 続きが気になります！！！これからも無理せず頑張ってください！！ (2020年4月4日 20時) (レス) id: fba24efeb3 (このIDを非表示/違反報告)
音涙(プロフ) - 奏琴さん» ありがとうございます！更新頑張ります…！よければこれからも読んでくれると嬉しいです！ (2020年4月2日 18時) (レス) id: 8511fd69ef (このIDを非表示/違反報告)
奏琴(プロフ) - とても面白いです！！これからも更新頑張ってください！ (2020年4月2日 14時) (レス) id: 11805289e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音涙 | 作成日時：2020年3月29日 8時
