拾 休息日.2日目 ページ14
ふと目を開けるとそこには大好きな甘栗の山があった…
『ハッ…甘栗!』
走りよって、幸せいっぱいの山に飛び込む。
少し先端が刺さって痛いのは気にしない、気にしない。
心做しか、周りの風景も私の気持ちと同じ桃色で、
ほわほわとした雰囲気を醸し出していた。
魅力的な甘栗の山の奥底には何があるんだろう…
まさか巨大な甘栗が埋まっているかもしれない!
そう思って甘栗様を掻き分けていく。
『!!?』
そこには甘栗の形をした鬼(!)が居座っていた…。
「へっ、甘栗の山の誘惑に勝てなかったそこのお嬢ちゃんや
俺が甘栗と同じようにお前の命をペロリと食べてやろう」
こんな時に限って刀が無い…最悪だ。
『うわぁぁぁあぁああ!!』
…ゴチン
『へ…?ゴチン?』
そこには額を抑えながら、心配そうに自分を見下ろす鬼が…
『あ、悪鬼滅殺!!たとえ甘栗と言えど鬼は許すまじ!』
.
「おいおい、派手に待ちやがれ、顔見てみろ。俺は鬼じゃねぇよ」
少し痛む額に手をやりながら顔を見上げて、思い出してみる。
『う、宇髄様…??』
「嗚呼そうだ。俺が地味な鬼に見えたってか?」
『も、申し訳ありません宇髄様!!
お姿も気配も異なっていらしたので…』
「…何の真似かは知らねぇが、迎えに来てやったんだ。取り敢えず着替えろ」
『迎えですか?』
「俺の嫁たちがお前と出掛けたいんだとよ」
『行ってきます!』
布団から跳ね起きて、勢いよく戸を開き、自室へ走る。
本当に姿も気配も異なっていた。
髪を下ろすとあんなにも変わるのか、美形は羨ましい…
なんて思いながら、着物に腕を通す。
上に紺色の羽織を着て、これでよし。
それにしても久しぶりだ。
考えるだけで心がどきどきとしてくる。
普段は結んでいる髪をはらりとほどく。
肩下まで伸びた髪。
寝癖も珍しく付いていないし、このまま行こう。
『あ、髪飾り…』
髪飾りをそっと手に取る。
これは髪を下ろす時には必ず付けているもの。
大好きなお兄ちゃんが誕生日祝いでくれた桃の花の髪飾り。
世界にたったひとつだけの。
そういえば、私はお兄ちゃんの祝いに何をあげたんだろう…
「まだなのかA!こっちは派手に待ってやってんだぜ」
『すみません、今行きます!』
待たせてしまっていた。
はやく可愛い3人を迎えに行かないと。
53人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^ - ^ (2020年10月11日 21時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
音涙(プロフ) - 梅雨さん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます!頑張りますね! (2020年4月5日 7時) (レス) id: 8511fd69ef (このIDを非表示/違反報告)
梅雨(プロフ) - 続きが気になります!!!これからも無理せず頑張ってください!! (2020年4月4日 20時) (レス) id: fba24efeb3 (このIDを非表示/違反報告)
音涙(プロフ) - 奏琴さん» ありがとうございます!更新頑張ります…!よければこれからも読んでくれると嬉しいです! (2020年4月2日 18時) (レス) id: 8511fd69ef (このIDを非表示/違反報告)
奏琴(プロフ) - とても面白いです!!これからも更新頑張ってください! (2020年4月2日 14時) (レス) id: 11805289e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:音涙 | 作成日時:2020年3月29日 8時