*赤い糸(sans) ページ38
目の前には寝ている彼がいる。前までなら、笑って起こすことが出来たのに。彼もジョークを言いながら笑って起きてくれたのに。今の状況じゃ、ただ涙が頬を伝っていくだけだ。playerはここまでこれたのが嬉しいのか、今はまだ動かそうとはしていないみたいだ。ねぇsans。起きてよ。今ならきっと避けられないから。今ならきっと私を殺せるから。だからお願い、攻撃して。そんな願いも虚しく体がゆっくりと動き出す。上から垂れている赤い糸が無理矢理体を動かしてくる。少しでも抵抗したくて、動かないように力を入れても結局は少しずつ動いてしまう。このままじゃ彼も他の皆と同じように殺されてしまう。私が殺してしまう。ゆっくりとナイフを持った腕が狙いを定め、彼を殺そうと切りかかる。あぁ、私はまた見てることしか出来なかった。何も出来なかった。ごめんなさい。sans。
「やっと見えたぜ」
その言葉と共に目の前から彼が消えた。playerにとって予想外の事だったのか、赤い糸はゆらゆらと頼りなく揺れている。後ろからガスターブラスターの攻撃音が聞こえた瞬間、何かに吊るされている感覚が無くなり前のめりなって倒れる。地面とぶつかりそうになった時ふわりと体が宙に浮き、引き寄せられる。もしかして。そう思い後ろを見てみると、苦しそうに息をしつつ少し体の溶けた彼が腕を広げているのが目に映った。
「オイラ、アンタの事になるとどうも諦められなくなるみたいだ」
ふわりと、壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめられる。少しケチャップのするその匂いに、安心して子どものように泣きじゃくる。
「sans…!」
「Aは悪くない。悪くないんだ。」
戦いの時とは違い、いつも話しかけてくれる声のトーンに更に涙が溢れる。私の涙が彼のパーカーを濡らしていくが、彼はそれをお構いなしに強く抱きしめてくれる。
「もう泣かなくていい」
私の涙を拭きつつ彼は優しく微笑んでくれている。それにつられて私も微笑み返す。まだ涙でぐちゃぐちゃだからきっと不恰好だけれど。
「また皆で遊ぼうぜ?」
「うん!」
そう言い私はRESETに手をかざす。勿論ここまでの全てを消す為。そして今度は皆を地上に連れていく為。
「ねぇsans」
RESETしたとしても彼の記憶からこの事が消える訳ではない。そう考えると少し不安になり、質問をする。
「また…友達になってくれる?」
私がそう言うと彼はいつもみたいに笑ってこう言った。
「オイラ達の友情はあんな赤い糸より脆くないぜ」
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fenon(プロフ) - 自分がfell推しだから分かったかもしれないんだけど、首にある何かって……首輪j((殴 (2020年6月15日 0時) (レス) id: 8dce9856e7 (このIDを非表示/違反報告)
enmkssptoad114(プロフ) - 御薬袋さん» コメントありがとうございます!恐る恐る確認してみたら普通に番号ミスしてました…教えてくださりありがとうございました! (2018年2月21日 20時) (レス) id: 125e861b1b (このIDを非表示/違反報告)
御薬袋 - 楽しく見させて貰っています! あの、日常?6と7?が見当たらないのですが、 (2018年2月20日 7時) (レス) id: 1fea4285a1 (このIDを非表示/違反報告)
enmkssptoad114(プロフ) - Bonetrousleさん» いえいえ!こちらこそ三回もリクエストしてくださってありがとうございます!ネタに困りかけていたので助かりました!遅くなりましたが更新させてもらいました! (2018年2月7日 22時) (レス) id: 125e861b1b (このIDを非表示/違反報告)
enmkssptoad114(プロフ) - 調理済みのいかやきサァンさん» いえいえ!こちらこそリクエストありがとうございました!ありがとうございました!ありがとうございました!あ((ry (2018年2月7日 16時) (レス) id: 125e861b1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YO!LO! | 作成日時:2018年1月7日 2時