*秘密のパスワード(sans) ページ33
「…おっとそうだ。アンタには特別に教えてやろうと思っていることがあるんだった」
彼の審判が終わり、彼が廊下の奥に行こうと一歩一歩ゆっくりと歩き出した時。急にピタリと止まったかと思えば此方にくるりと向き直りまた元いた場所に戻る。
「オイラの秘密のパスワードについてだ。アンタは信用しても良さそうだし、教えてやりたいんたが…聞くか?」
信用しても良さそう。その言葉が嬉しくて何度も首を縦に振る。
「おっ、えらく興味があるようだな?なら教えるぜ。いいか?秘密のパスワードはな…」
彼が近付いてきて耳元で秘密のパスワードなるものを言ってくる。その言葉に顔が真っ赤になる。
「じゃ、また会おうぜA」
秘密のパスワードを言い終えると彼は満足気に廊下の奥へと歩いていった。言いたくはない。言いたくはない…けれども。彼が私を信用して教えてくれた秘密のパスワード。それを伝えに行かないと彼を裏切ることになりそうで、恥ずかしいけれどまた此処で彼に合おうと決意を抱いた。
「ついにここまで…うん?どうしたんだアンタ。顔が兄弟のスカーフ並に真っ赤になってるぜ?え?オイラに伝えたいことがある…?」
そう言うと彼はあからさまにニヤけはじめた。物凄く言いたくない気持ちになる。けれど彼を裏切ることだけはどうしてもしたくない。意を決して口を開き秘密のパスワードを言う。
「…わ…たしは…マ、マヌケな#$%野郎で、す!」
恥ずかしさでソウルが砕けそうになる。それに少しの間彼が何も喋らずニヤニヤしているからもう決意も砕けそうになった。
「まさかアンタがそんなことを言うとはな。まったく…ガキじゃあるまいし…」
言わせたのは誰だと言いたいところだが、口を開いても音にならない声が出るだけで何も意味を成さない。
「まぁそう怒るなよ。本当は秘密の秘密のパスワードもあるんだが、アンタの頑張りに免じてそいつをすっ飛ばしてトリプルシークレットパスワードを教えてやるからさ」
そう言いまた近付いてくる彼に少し警戒しつつも、そのパスワードを聞く。パスワードを聞いて呆然とする私を気にもせず、また廊下の奥へと歩いていく。彼がいなくなり、少し経ってからハッとする。はやく彼に会わなければ。ニコニコとしながら私はその場から消えた。
「…Aの返事を聞くとするかな」
いつものにやけ面とは違い真剣な表情をしている彼に向かって、私は彼のにやけ面を真似る。
「地上に出たら宜しくね、未来の旦那さん!」
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fenon(プロフ) - 自分がfell推しだから分かったかもしれないんだけど、首にある何かって……首輪j((殴 (2020年6月15日 0時) (レス) id: 8dce9856e7 (このIDを非表示/違反報告)
enmkssptoad114(プロフ) - 御薬袋さん» コメントありがとうございます!恐る恐る確認してみたら普通に番号ミスしてました…教えてくださりありがとうございました! (2018年2月21日 20時) (レス) id: 125e861b1b (このIDを非表示/違反報告)
御薬袋 - 楽しく見させて貰っています! あの、日常?6と7?が見当たらないのですが、 (2018年2月20日 7時) (レス) id: 1fea4285a1 (このIDを非表示/違反報告)
enmkssptoad114(プロフ) - Bonetrousleさん» いえいえ!こちらこそ三回もリクエストしてくださってありがとうございます!ネタに困りかけていたので助かりました!遅くなりましたが更新させてもらいました! (2018年2月7日 22時) (レス) id: 125e861b1b (このIDを非表示/違反報告)
enmkssptoad114(プロフ) - 調理済みのいかやきサァンさん» いえいえ!こちらこそリクエストありがとうございました!ありがとうございました!ありがとうございました!あ((ry (2018年2月7日 16時) (レス) id: 125e861b1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YO!LO! | 作成日時:2018年1月7日 2時