240.心にかかる靄 ページ10
「…で、その時行われたのが…。」
静かな部屋に女官長の凛とした声が響く。
その声を聞きながら私はぼんやりと考え込んでいた。
(どうしてエンマくんは私に話してくれないんだろう。まだその時じゃないの?それに話したいことって一体…。)
悶々と考え込んでいる私の耳に女官長の鋭い声が届く。
「A様、聞いておられますか?」
「え?…あ、すみません。聞いていませんでした…。」
素直に非を認めシュンとして項垂れると、目の前の女官長が大きな溜息をつく。
「今度はなにをお悩みですか?」
「え…?」
てっきり怒られるものとばかり思っていた私は、拍子抜けしたようにポカンと口を開ける。
それを見て女官長は眉を下げて微笑んだ。
「何かを悩み出すととことんまで悩み抜くA様ですからね。もう慣れました。」
「す、すみません…。」
自分でも知らないうちに周りに迷惑を掛けていたのだと気付き、身を小さくする。
しかしこれはいい機会かもしれない、と思い、顔を上げると真っ直ぐに女官長を見据えた。
「もし…このまま私に子供が生まれなければ、近いうちにエンマくんが新たな王妃を迎える可能性はありますか?」
訪ねてから私は深く後悔する。
『可能性がある』といわれたらどんな顔をしていいのか分からなかった。
「そうですね…、可能性はゼロではありません。」
(やっぱり…。)
女官長の回答に今更ながら深く沈み込む。
私の様子を予想していたのだろうか、女官長は落ち着いた声色で話し始めた。
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湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。ずっとご覧くださいましてありがとうございます。しばらく更新が出来ませんでしたが、これからものんびりと続けていこうと思っています。どうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - Epiphyllumさん» Epiphyllum様。初めまして。ご覧くださいましてありがとうございます。恋人シリーズから読んでくださったのですね。跡継ぎ問題、今はこのままでしょうがいつか二人の子どもも描きたいなぁ。ケータくん達との絡みまで続けられたら良いのですが。よろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 実はこれ数年前から見てます!好きです!頑張って下さい! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 続きを・・・続きをお恵み下さい・・・! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
Epiphyllum - 本日恋人編からここまで全部読みました!本当に好きですッ!エンマくんも可愛いし正直跡継ぎとか気になります!更新頑張ってください!なんかそのうちケータくんたちとも関わってくれたら嬉しいです! (2020年12月28日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湖月さくら | 作成日時:2020年4月5日 22時