252.甘いひとときをもう一度 ページ22
……
「それともう一つ。お前に伝えておかねばならない事があるんだ。」
そう言ってオレは深呼吸した後、真剣な眼差しをAに向ける。
そんな俺を見てAは不安そうに眉を顰めていた。
「今、高林坊より結界術について学んでいる。その修業の一環も兼ねて、近々てんぐの森へ行って来る。なぁに、心配するな。オレにかかれば結界術などちょろいもんだぜ。…って何呆けた顔してんだよ。」
話をしたらAは心配して引き留めるかと思いきや、ハトが豆鉄砲くらったような顔をする。
するとAは慌てたように弁解をし始めた。
「いや、あのっ…。真剣な顔するから、てっきり正妃を迎える話だとばかり…。」
ゴニョゴニョと呟いているAに溜息をついてから、オレはAの顔を覗き込む。
「だから、さっきも言っただろうが。オレの妃はA一人で十分だって。今までもこれからも、オレはA以外抱くつもりもねぇし、Aしか欲しくない。」
それでもまだキョトンとしているAにオレはあらためてはっきりと告げる。
「オレの女は生涯Aただ一人だけだ。意味分かってんのか?――つまり、この先オレの相手すんのはお前だけだってことだぞ?」
途端にAはかぁっと全身真っ赤になって狼狽える。
(やっと自覚したのかよ。)
心の中で呆れたようにそう呟きながら、オレはAをヒョイッと抱き上げるとベッドへポンと軽く放った。
「きゃっ、何すん…、え?」
間髪入れずに覆いかぶさってきたオレにAは慌てて身を捩るがもう遅い。
完全に組み敷いた所でオレはAを見下ろしてにんまりと笑った。
「とりあえず今夜は今までのおあずけ分も含めて、オレが満足するまで付き合って貰おうか。」
危機感を覚えたAは表情をこわばらせたまま、逃げ出そうとする。
「え…、そんなの、身が持たな…んっ!」
Aの抗議の声を飲み込むかのようにオレは深く口付ける。
甘くとろけそうな二人の時間が何日ぶりかに戻って来ていた。
――――
誤解やすれ違いで思い悩んでも、それを正直に伝えれば想いは繋がっていく…。
それはきっと難しいかも知れないけど、諦めてはいけない事なのかもしれません。
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湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。ずっとご覧くださいましてありがとうございます。しばらく更新が出来ませんでしたが、これからものんびりと続けていこうと思っています。どうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - Epiphyllumさん» Epiphyllum様。初めまして。ご覧くださいましてありがとうございます。恋人シリーズから読んでくださったのですね。跡継ぎ問題、今はこのままでしょうがいつか二人の子どもも描きたいなぁ。ケータくん達との絡みまで続けられたら良いのですが。よろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 実はこれ数年前から見てます!好きです!頑張って下さい! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 続きを・・・続きをお恵み下さい・・・! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
Epiphyllum - 本日恋人編からここまで全部読みました!本当に好きですッ!エンマくんも可愛いし正直跡継ぎとか気になります!更新頑張ってください!なんかそのうちケータくんたちとも関わってくれたら嬉しいです! (2020年12月28日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湖月さくら | 作成日時:2020年4月5日 22時