245.告げられない隠し事 ページ15
それから私は静かに微笑むと柳子丘さんを見つめる。
「…ありがとうございます。なんだか目が覚めた気がします。」
そう呟く私を見て、柳子丘さんは嬉しそうに笑った。
「そう素直な所は小僧に似ておるの。まぁ、あやつはそれだけでは済まないから厄介なのだが…。」
むむむ…と考え込む柳子丘さんに思わず笑みが零れる。
そんな穏やかな空気の中、柳子丘さんは突然切り込んできた。
「ところで『この妖魔界を壊そうとする者』とは一体誰のことだ?」
思い掛けない質問に私は息を飲むと口をパクパクさせる。
それを見て柳子丘さんは悟ったように口を開いた。
「先日、お主と話した時に漏らした『妖魔界を壊そうとする者』…。大体の予測は出来る。だがそれを何故誰にも告げないのか…。」
じっと見つめる瞳に私は耐え切れなくなって目を逸らす。
すると柳子丘さんはふぅと小さく息を吐いた。
「話せないのなら致し方あるまい。だが、その者を知っているという事はお主は勿論、周りにも禍が降りかかる事、ゆめゆめ忘れるでないぞ。」
柳子丘さんの言葉に私は無言で大きく頷く。
(その者が誰なのか…なんて言える訳ない。だって言ったらここは…。)
以前私は声を失った時、現れた黒い服の女官は突然男の姿に代わり、私を脅してきた。
――『今日僕に会った事は誰にも言うな。言った瞬間、この屋敷ごと吹き飛ばす。』
あの男の声が耳に蘇り、私は思わず身震いをする。
そんな私の様子を柳子丘さんは静かにじっと見つめていた。
――――
ある男の台詞については、『エンマ大王のヨメ』vol.9に出てきます。
ご参考までに。
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西 - この方角に福があるはずです
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湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。ずっとご覧くださいましてありがとうございます。しばらく更新が出来ませんでしたが、これからものんびりと続けていこうと思っています。どうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - Epiphyllumさん» Epiphyllum様。初めまして。ご覧くださいましてありがとうございます。恋人シリーズから読んでくださったのですね。跡継ぎ問題、今はこのままでしょうがいつか二人の子どもも描きたいなぁ。ケータくん達との絡みまで続けられたら良いのですが。よろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 実はこれ数年前から見てます!好きです!頑張って下さい! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 続きを・・・続きをお恵み下さい・・・! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
Epiphyllum - 本日恋人編からここまで全部読みました!本当に好きですッ!エンマくんも可愛いし正直跡継ぎとか気になります!更新頑張ってください!なんかそのうちケータくんたちとも関わってくれたら嬉しいです! (2020年12月28日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湖月さくら | 作成日時:2020年4月5日 22時